広瀬県政について
堤県議 
一般質問に入る前に、311日に発生した東日本大震災では、犠牲者及び行方不明者が20,894名、避難所生活者111,532名と戦後最大の大惨事となりました。あらためて犠牲となられた方へ深い哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。これまで日本共産党が取り組んだ震災募金は6億7千万円を超え、被災自治体や漁協・農協等にお届けをいたしました。また党の呼びかけによるボランティアは大分県も含め、延べ7,000名にのぼるなど全国の党組織を挙げて支援に取り組みを続けているところです。今後とも全力で復興支援活動に取り組む決意を申し上げて、質問に入ります。
4月の県知事選挙では、56.44%という低い投票率の中、日本共産党の三重野候補は12%を獲得しました。わが党は県知事選挙では「@九州最低の福祉予算を暮らし福祉最優先へ。A大企業呼び込み県政から農林水産業・中小企業応援の県政へ。B県民に開かれた公正な教育行政へ」の3つの転換を公約として闘いました。疲弊した県民の暮らしや福祉を「何とかしてほしい」という切実な声の中、64,646人もの県民が三重野候補へ投票をいたしました。投票にいかなった人や6万人を超える人々の声に、真摯にこたえる責務が知事にはあるります。

 一点目の転換は、総務省の「統計でみる都道府県の姿2011」で、九州7県の中で「民生費7位」「社会福祉費5位」「児童福祉費7位」(2008年度)となっています。国の社会保障改悪路線に沿って、負担しきれない国保税や介護保険料の引き上げ、さらに後期高齢者医療制度等によって、県民の福祉・医療は切り下げられてきました。九州の中でも低い福祉予算を増額し、安心して暮らせる県政にする責務があります。

 二点目の転換は、これまで莫大な補助金漬けで大企業誘致を行ってきましたが、一方で派遣労働者や業務請負労働者など不安定雇用を拡大してきた結果、西日本最大規模の派遣切りが行われ、多くの若者が路頭に放り出されてきました。しかし県はこのような実態があるにもかかわらず、進出大企業に指導も勧告もしてこなかったばかりか、全くの野放し状態でありました。農業分野でも企業誘致政策を推進し、家族経営をこわしていきました。大企業誘致のために税金を投入するのではなく、農林水産業や中小企業支援にこそ重点を置いた施策をすべきではないでしょうか。

 三点目の転換は、これまで議会でもたびたび取り上げてきましたが、県教委の教員採用不正事件の実態解明がなされないまま、税金による賠償金の支払いが強行されました。全く責任のない県民の税金を使うことに対する批判はいまだに続いています。しかし知事も教育長も報酬のカットのみで事実上責任をとってきませんでした。知事部局主導でなく、子ども、教師、保護者を主役とした民主的な教育に改めると同時に、いったい誰が口利きをしたのかなど県民の疑問に答えるのが県としての責務であります。
このような3つの転換こそが今の県政にとって重要課題であると考えますが、その認識についての答弁を求めます。

また、民主党政権は地方自治体を破壊する道州制の導入や、さらなる消費税の増税に道を開き被災者の生活再建に背を向けた施策をとろうとしています。また「TPPは全国の農林水産業を壊滅させてしまう」と、JA全中が全国で1120万人をこえ、この大分県でも24万人を超える「参加阻止」を訴える署名が寄せられています。東北3県では東日本大震災で壊滅的な被害を受けた農林水産業を、さらに追い込んでしまうようなTPPの推進にはきっぱり反対の立場をとるべきであります、地方自治を守り、県民の暮らしや農林水産業を守るためにも、知事として明確に反対の立場をとるべきであります。併せて答弁を求めます。

知事

議員からは、県政につきまして、3つの課題について質問を頂きましたけれども、私としては、多くの課題がある中で「選択と集中」を図りながら、県民福祉の向上という大きな理念を実現していくことが肝要であると考えています。まず、「九州の中で低いレベルにある福祉予算」との指摘についてであります。議員は、九州七県の歳出決算額に占める民生費の割合を比較されましたが、各県の人口や年齢分布、産業構造などが必ずしも一様でない中では、一面的な感が致します。県民一人あたりの決算額で試算すると、民生費と児童福祉費は6位ですが、社会福祉費は一位となります。民生費が下位となる最大要因は、市町村合併が進んだ本県では、旧町村部の生活保護費や児童扶養手当等が新市で計上されるようになったこと、これに伴い福祉事務所の職員人件費が減少した事です。また、他県に比べて多い幼稚園の運営経費が、民生費でなく教育費に計上されることも影響していると考えられます。特に子育ての分野で本県は、24時間365日、いつでも悩みに応じる体制を整えたほか、昨年10月からは、入院医療費の助成対象を中学生まで拡大するなど、充実を図っています。こうした全国トップレベルの取り組みが評価され、「第5回にっけい子育て支援大賞」の受賞に繋がったものと考えています。二つ目は、いわゆる「大企業呼び込み型の県政」との指摘についてです。企業誘致は、この8年間で166社が立地し、直接効果だけでも、約13,700人の雇用と約6500億円の投資を生み出し、これが地場企業のビジネスチャンスの拡大につながり、税収増にもつながった。まさに企業誘致という先行投資が広く県民全体の利益につながっています。やはり地域経済の活性化であり、雇用を維持・拡大する環境をつくることです。経済は生き物であり、不調時には雇用のセーフティネットが必要となるため、これまでも離職者への再就職支援等の対策をしっかりと行ってきたところです。また、農業では、担い手の高齢化や減少により、耕作放棄地が増加する現状を踏まえ、県農業を担う力強い経営体を確保するため企業参入を進めてきまいた。4年間で106社が参入を進めてまいりました。4年間で106社が参入し、既にパートを含めて約400名が雇用されているほか、参入企業からの暖簾分け等で新規就農者が増加するなど、地域経済・地域農業への効果は大きいと考えています。三つ目は、「県民に開かれた公正な教育行政を」との指摘についてです。三年前の事件については、返す返すも残念でなりません。事件については、警察による徹底した捜査が行われました。教育委員会としては、行政機関として自ずと限界があるものの、その権限と責任の下で過去10年間の所属長、人事担当者101人への事情聴取、学校関係管理監督者1067人への文書・書面により調査など、できる限りの調査を実施したところです。この結果は、調査報告書として取りまとめ、公表しています。教育委員会では、このような事件が二度と起きないよう、果敢にしつこく改革に取り組んできたおり、必ず改革の実をあげ、県民の期待に応えてくれるものと考えています。次に、TPPについてお尋ねがありました。国では東日本大震災の影響から方針の決定を先送りしています。国内議論は参加、不参加の意見が混在していますが、心配なことは、関税に守られさえすれば、農業が成り立っていけるのかということです。大事なことは、日本農業が持続的に発展し、農業者が安心して生産できる道筋を示すことです。県としては、国の動向を注視しつつ、これまで進めてきた構造改革を加速し、もうかる農林水産業の実現に努めてまいります。

堤県議
共産党は企業誘致そのものに反対しているものではない。補助金漬けの企業誘致はやめなさいという方向です。自動車産業などの地元への波及効果は、一部分だけ。圧倒的多数の中小業者や企業の方々は誘致企業で仕事が増えたという実感はない。こういう所にこそきちんとした対策を取っていくべき。また大分キヤノン等が派遣切りをした時に、何ら手立てを取らなかった。今後は派遣切りを起こさないという知事としての認識を強めて頂きたい。TPPについては1120万という署名の重みがある。関税は日本はそんなに高くない、主食の米等主なものだけを関税を高くしているだけ、自国の主食を守るという対場から高関税をしている。それを開放してしまう、国の動向ではなく日本の農業をつんでしまう自給率を、壊してしまうやり方は知事として反対すべきではないか

知事
国内の、あるいは大分県の農林水産業は守っていかなければならない。そして食糧の自給率を高めていかなければならないという思いは、堤議員と同じだと思います。ただTPPに反対するという事でその事で日本の農業、大分県の農業がやっていけるのかと心配している。関税の高い米については実は消費が低迷し担い手が高齢化して苦境にあるという実態。高い関税で保護されているがそういう実態がある。他方、園芸作物は関税は低い方だが結構ニーズをうまく捕まえ、てそして外国産との差別化を進めて結構うまくやっている。問題は大分県の農業水産業がこれからもうまくやっていける体制をとる、それがTPP反対表明で出来るだろうかと心配している。もう一つはTPPに反対と言いながらも、世界中でFTATPPの交渉が進んでいる。そういう中で国際的な枠組みがどんどんできている。我々はウルグアイランドのにがい経験を思い出さずにいられません。あの時にも米は一粒たりともいれない。関税問題については触れてはいけないと言ってきたが、それでも最後に日本は国際化の波には抗しきれないという事でウルグアイランドの承諾をし、米のミニマムアクセスを認めた。そしてその結果、消費が落ちてる中でミニマムアクセスが日本の米生産の圧迫になっている。国際的な動きが進んでいる中でそこを無視し最後までいけるか、よくよく考えていかなければならない。TPP反対表明というだけで物事は解決できない。目指すところは堤議員と一緒だと思うが、その方策についてはもっと真剣に考えて真剣に対応を取らなければいけない

堤議員
求償権の行使についてどういう状況になっているのでしょうか。不正をし、口聞きをした人にも求めるべきだ、が県民の声であります。答弁を求めます。

小矢教育長
今年の119日に専門家委員会がスタートした。専門家委員会の意見を頂いたうえでしっかりと検討していきたいと思います。

堤議員
口利きをした人に求償権を求めるように要望します

防災対策について
防災計画について

堤県議
 東日本大震災では、M9という観測史上最大規模の大地震が発生し、甚大な被害が出ています。いまでも大きな余震が続き、被災者は不安を増しています。大分県でも東海、東南海、南海、日向灘での地震の発生が各方面から言われているところです。このような中622日に地域防災計画再検討委員会有識者会議が提言書を発表しました。巨大地震を防ぐ手立てはできなくても、被害を最小限にすることと、被災後の復興計画は政治の責任として、計画しておかなければなりません。これを受け県下各自治体は、防災計画の見直しや対策を強化していますが、むしろ県が率先して財政援助の増額も含め主導性を発揮し、国待ちではなく計画を策定すべきですが、答弁を求めます。

生活環境部長
東日本大地震後、県では、速やかに地域防災計画の見直しを行うため、市町村と一体となって、再検討委員会を立ち上げ、国の防災基本計画の見直しを待たずに、改定に着手した。年内に素案をまとめた上で、国の基本計画の見直し内容とすり合わせ、概ね年度末までには、改訂を終える事としている。加えて、災害予防、応急対策についても、早急な取組が必要なことから、海抜や避難路標示、避難地の整備に対し、県として積極的に支援する方針を早々に伝え、市町村の取組を促した所である。市町村は、暫定想定を踏まえ、自主防災組織と協力して、既にできることから取り組みを始めており、県では今回、市町村の防災対策に対する助成事業として3億円を補正予算案として提案しているとこである。

堤議員
3億円で足りるのか。液状化現象も危険である。この対策はどうするのか。

生活環境部長
3億円で足りるのかという事ですが、この中で対応していけると思っております。液状化については県の地域防災計画において、県内に被害をもたらす要因の一つと取り上げております。今回の震災においても東京湾沿岸では、戦後埋め立てられた地域を中心に液状化が広がり大きな被害が発生した。県としては緊急の取組としてまずは津波対策を重点的に進めてきたが、液状化に関しては防災上の大きな課題と位置付けている。有識者会議の中に専門家がいるので助言を頂きながら再検討委員会の中で検討していきたいと考えております。

災害時の対応について

堤県議
これまで県は、公務員の削減や市町村合併、学校や消防署の統廃合、病院や保健所の統廃合を進めた結果、災害の時大きな力を発揮すべき公務員の減少や、医療施設や役場等の災害救助拠点施設の減少につながってしまいます。まさにこのような状況にしてしまった県の責任は大きなものがあります。どのように認識しているのでしょうか。
また防災対策は「自助」という自己責任にすり替えてはなりません。行政として壊してしまったネットワークの構築を再度確立する責務があると考えますが併せて答弁を求めます

生活環境部長
市町村合併や県立学校の統廃合、保健所の再編などは、いずれも、県・市町村を取り巻く状況が大きく変化し、その必要性が高まる中で取り組んできたもので、行政としてなすべ判断であったと認識している。喫緊の課題である防災体制の整備に向けては、自らの判断で迅速に行動する「自助」とともに、互いに助け合う「共助」の仕組みを構築するため、地域毎の実情に応じた対策を講じることが大切である。このため市町村では、新たに県が設定した津波の暫定想定を各地域の自主防災組織等に説明し、共通の理解の下で、津波避難場所・避難経路の見直しや海抜等表示板の設置などについて既に検討を始めている。このように、住民が主体的に地域に即した防災体制づくりや防災対策に取り組むことこそ、地域コミュニティやネットワークの充実につながることから、県と市町村が一体となって支援していく。

堤議員
県として合併で壊したネットワークを再構築すべきだ。再構築についてどういう考えをもっているのか

生活環境部長
暫定想定を各地域自治防災組織に説明し、共通理解に立って地域毎の防災対策を積み上げていくことが地域防災体制作りだと考えている。

防災計画の見直しの基本姿勢について

堤県議
災害が発生した場合、生活と生業の再建や第一次産業、中小企業の復興計画も講じ、いち早く再建ができるような手立てをとる必要があります。復興をすすめる基本的な考えは、第一に「一人ひとりの被災者が、破壊された生活の基盤を回復し、自分の力で再出発できるように支援することこそ、復興の最大の目的であり、この目的を達成するための公的支援を行うこと」です。第二に、「計画をつくるのは住民合意で、実施は市町村と県・国が連携して、財政の大半は国の責任で」を原則にすべきであり、被災地の実情を無視した「上からの青写真の押し付け」を許さないことが必要だ」ということです。この二点を堅持しながら復興を進めることが大切です。この原則を県の防災計画の基本に据えるとともに、国に対しても強く要求すべきと考えますが答弁を求めます。

知事
今回の大地震のような甚大な被害を受けた被災者や事業者は、将来の見通しが立たない状況に大きな不安を感じる事と思います。このため安心感や希望を持って、いち早く再建に取り組める復旧・復興の支援体制づくりが大事です。現行の地域防災計画の災害復旧・復興計画では、まず、被災者や事業者の一元的な窓口となる「県民サポートセンター」を設けて、被災者の生活再建を支援することとしています。また、このような大災害があった時には住宅の再建を支援することとしています。また、このような大災害があった時には住宅の再建が問題になりますが、これについては、国と都道府県で積み立てた基金により支援することとしています。今回の震災に伴う巨額の需要によりこの基金がいったん枯渇することから、今後に備え、基金の積み戻しを計画しています。農林漁業者や中小企業者に対しては、つなぎ融資等により、生活や事業の早期再建を支援していきます。現在見直しに着手している地域防災計画では先ず被害実態を踏まえ、県民の意見をよく伺うこと、その上で地域の実情に即した復興計画を策定すること、また、策定にあたっては県と市町村とで一体となって進めること、を基本姿勢として進めて行きたいと考えています、なお、被災地域地の復興を着実に進めるには、国が復興策をいち早く示し、自治体に財源をしっかり措置する必要があります。東日本大震災における復旧・復興の現状を見ますと、復興構想会議による提言は出されたものの、被災地では、がれきの撤去などの財源が不足するなど、国の対策は十分とはいえません。このため7月12日の全国知事会では、被災地の復興事業を速やかに実施するための財源確保について提言した所ですが、今後の災害にも備え、財源面を含めた復興スキームを確立するよう国に働きかけてまいりたいと考えています。

堤県議
復興については、様々な制度はあるが、圧倒的多数の中小零細業者は国の制度の支援の枠外に置かれているのが現状。二重ローンの解消の問題についても。「債務凍結」とともに、事業を立ち上げるための資金のために、県制度融資の無利子融資や利子補給をはじめ制度融資の抜本的な拡充をとるとともに、計画の中に入れておくと中小零細業者もこういう事が活用できると明らかになる。また津波で流された機械のリース代を免除する手だても必要であります。貸工場、貸店舗への公的支援の拡充も求められています。こういう事も具体的にいれるべき。
また誘致大企業に対して災害時の雇用確保を協定でも確認すべきであります。東日本大震災の関係で、大分のキヤノンの下請けが操業短縮、休業となり、派遣労働者に給与が出なかったという問題もあった。雇用を守るということは企業の社会的責任である。協定に入れるべき。

知事
災害が起こった時の生活面事業継続面でのご提言を頂いた。実際災害は起こってみると あらかじめ決めておいた方があるかと思う。住宅については制度はあるが、事業の継続については融資で対応せざるを得ない。そうすると融資についても無利子が一番良いかいも知れないがそうはいかない。二重債務の問題もある。そう事になった時にあらかじめ対応を考えて計画に入れておくことも大事かもしれないが、そこまで事実上できるかどうかという事も考えなければならない。今回の大震災で問われている課題でもある。そのあたりの状況も見ながら今後の計画の中に活かしていこうと思っている。

堤県議
協定の中に災害時の安定雇用を入れるという考え方どうか

知事
雇用の継続も大切だか、雇用が継続できるためには事業が継続できるという事が大前提である。どういう被害が生じ、どういう事態が起こってくるのかというのが中小企業も大企業も同じこと。そこをあらかじめ決めておくという事はかない。

堤県議
このことを検討の中に入れるべき。

臨海工業地帯の防災対策について

堤県議
海に面している工業地帯での地震・津波対策は重要課題であります。背後地住民への被害拡大も想定されますが、企業の責任で具体的な対策をとるように指示すべきと考えますが、答弁を求めます。

生活環境部長
臨海地区の企業で構成する石油コンビナート等特別防災区域協議会では、先月22日の地震・津波暫定想定の公表を受け、早速28日に有識者会議の竹村教授を講師に招き、企業の防災担当者200人余りを集め研修会を開催した。この研修では、暫定想定の考え方や津波到達時間、企業毎のシュミレーションの見直し方法等について、活発な危機感を持って防災対策に取り組んでいる。県では10月に東日本大震災と暫定想定を踏まえた。石油コンビナート等総合防災訓練を協議会とともに実施する予定であり、この訓練の成果を検証し、必要に応じて企業に防災体制等の助言・指導を行う事としている。

原発事故について 

堤県議
今回の福島県の原発事故は、これまで経験をしたことのない異質な事故であります。ひとたび放射能が外部へ漏れだしたら、それを食い止める手段がありません。例えば100万キロワットの原発は、1年間に広島型原爆の1,000発分の死の灰が生じます。現在全国で運転中の原発では、年間約17,580発分の死の灰があると推定できます。これを閉じ込めておく技術は確立されていないのが実態です。事故が起きれば、この死の灰が空間的にどこまでも広がり、急性障害だけでなく晩発性障害などの被害は、時間的にもいつまで続くのかもわかりません。さらに故郷を追われ社会的な営みができなくなってしまいます。知事として今回の原発事故についての認識と、政府や各電力会社が言っているように原発は「安全」という認識に立っているのでしょうか。答弁を求めます。

知事
福島第一原子力発電所の事故発生から4カ月が経過しました。今でも、周辺地域では広範囲な避難指示のもと、多くの住民が避難生活を余儀なくされているほか、農作物の汚染や風評被害も深刻化しており、大変重大な事故であると考えています。私としては、この原発事故が一日も早く終息し、安全対策が講じられ、避難をされている方がもとの生活にもどられることを願っています。マグニチュード9という最大規模の東北地方太平洋沖地震の発生とこれに伴う大規模な津波により、福島第一・第二、女川、東海第二、東通りの各原発は、大きな影響を受けました。いずれの原発も緊急停止した中で、福島第一原発だけが津波により全ての電源を喪失し、その後の事故に至りました。私は、九州地方知事会長として、今回の事故原因の徹底究明や、事故の検証結果を踏まえた安全基準の見直しと安全対策全体の総点検、原子力安全行政の見直しなどについて、国に要請した所です。さらに、浜岡原発の唐突な停止要請など、原発の安全性を巡る国の不十分な対応ぶりについて、立地県の知事の声も聞いており、原発の安全性に関しては、もう少し冷静に議論する必要があると考えています。先日の全国知事会でも、政府が事故発生当日から今日まで場当たり的な対応に終始していることから、国民の生命と財産を守るという原子力行政の根本に立ち、国の責任ある対応を求め、原子力行政に対する国への緊急提言を行ったところです。原子力発電は、しっかり安全対策を講じなければ、大きな事故につながる危険性を持っていると思います。だからこそ、常に安全性を検証し安全対策を強化しながら、住民の理解と納得を得て進めていくことが大切であると考えています。

堤県議
知事のいう安全対策、安全基準が原発の施設について当てはまるのか。私は一たび、放射線漏れが起きれば莫大な被害をもたらす、そういうリスクを評価できない。安全基準を立証するには、実証実験をしなければならない。実証実験は不可能である。安全という概念は原発についてはないという認識を持つべきだ。

知事
しっかり安全対策を講じなければ、危険が発生につながる。だからしっかりと安全対策を講じるとその事が大事。

原子力発電所について

堤県議 
大分県は伊方原発より45キロ、玄海原発からは170キロ、川内原発からは200キロの距離となっています。特に伊方原発は中央構造線起震断層の真上にあり、大変危険な地域にある原発です。また、1号機は1977年9月に運転開始、34年もたつ老朽施設、3号機は現在休止中でありますが、危険なプルサーマル発電を行っています。そしてこれまでも事故を繰り返し起こしている原発です。ひとたび重大事故が起きれば大分県にとっても大変な放射能汚染が引き起こされます。現に福島第一原発の事故後、300キロ離れた静岡県の茶葉から放射性物質が検出され出荷停止となっています。近県の大分県にとって他人事ではありません。このような大変危険な原発は廃炉にすべきであります。また山口県上関町にはあらたな原発建設計画がありますが、この建設中止も含め、国や各電力会社に求めるべきと考えますが答弁を求めます。

知事
電力は、国民生活の向上と経済活動の発展に欠くことのできないエネルギーであり、安全性を確保しながら、安定的に供給されることが重要であると考えています。高度経済成長の時代には、石油による火力発電の割合が70パーセント以上を占めていました。その後、二度にわたるオイルショックを経験しエネルギーの安全保障を図る上で、石油への過度な依存を提言するとともに、地球温暖化防止のため、石油、LNG,原子力と多様な電源開発が30年の年月をかけて行われてきました。その結果、現在の電力供給は、原子力が発電量の約30%を占めており、全ての原子力発電を停止させることは、国民生活や経済活動に多大な影響を及ぼすことが危惧されます。また、太陽光など再生可能エネルギーについては、発電量の10%未満となっております。こうした状況から、電力の安定供給のためには、短期的に見て、原子力発電について、国及び電力会社の責任において、しっかりと安全性を確保し、住民の理解を得る事が重要と認識しています。安全性が全く確保できなければ原子力発電所は無理なわけですけど、そこができるぎりぎりの所までやってみて安全性を確保して安定供給を図っていくことが大事。中期的には、再生可能エネルギーの導入拡大を図ることが、資源の乏しい我が国にとって、自給率向上や環境面から必要不可欠であると考えており、全国のトップランナーとして取り組んでまいります。伊方原発については、先日、私は愛媛県の中村知事とお会いしました。愛媛県としては、今回の原発事故を受け、四国電力に対して、原子力本部を高松市から松山市へ移すこと、また、国の基準を上回る電源対策や更なる揺れ対策を講ずること、わずかな異常でも県に速やかに報告し県が報告し、県が公表するという愛媛方式のさらなる徹底を図ることなどを求め、四国電力は早速、原子力本部を松山し移すなど、これらの要請を受託したとの事でした。国の方針や四国電力の対応、立地地域の意見などが今後の方針を決定する要素になるものと認識しています。いずれにしても、伊方原発については、県民のご心配もあることから、今後とも、愛媛県と情報交換を密にし、しっかりと連携を図ってまいります。また、議員ご質問の中国電力が計画している山口県上関町の原子力発電所については、山口県は、建設に必要な公有水面埋め立て免許の来年10月以降の延長について、現状では認めないとしており、これから、国の方針や具体的な安全対策などを確認していくものと考えています。

堤県議
原発の安全性の確保はできない、45キロ先には伊方原発がある。県民の中にはこれだけ近い所にあって大丈夫なのかと心配する声もある。過去に事故も起こしている。遮るものもなく、事故があれば放射能がまっすぐ飛んでくるような大分県にとって、知事として四国電力に対して伊方原発の廃炉を含めた提言をするべき。電力の確保は日本世論調査の結果の中で少々不便があっても耐えうる、それよりも原発の廃炉を望んでいるという声が八割を超えている。国民の中では原発からの脱却を望んでいる。知事として安全だから大丈夫と、一昔の経済産業省が言ってきた安全神話の中での論点でしかない。県民の命を守る立場から切り替えて、原発は安全でないという立場に立って、四国電力に再度話をするべき。

知事
原子力発電所は安全だとは言ってない。安全対策をしっかり講じていかなければ取り返しのつかない事故につながる、だからこそ念には念を入れて安全対策を講じていく事が大切。安全性について実証できないのではないかという質問だが、今は技術が発展していて色んなシュミレーション等ができる。そういう事も活用しながらできるだけ安全性を高めていくその手はいくらでもある。伊方原発について廃炉を言ったらどうかいう質問だが、愛媛県知事にも会いどういう風に考えているのかと聞いた。先ほど申したように国の基準を上回る要請を四国電力にし、四国電力もそれを受け対応している。それも一つの考えであるので、見守っていたいと思っている。

堤県議
福島原発は津波が電源喪失のメインの原因ではない。巨大地震の時に電源が遮断された。そういう意味からもどういうシュミレーションをしても無理。安全神話に囚われているのではないか

知事
今回は福島第一・第二、女川、東海第二、東通りの各原発は、停止をした。津波によって福島第一原発だけが全ての電源を失いその後の事故につながった。その他の所は停止をしてその後冷却装置が動き出た。したがって原子力は何が何でも危険があると断定するものではない。むしろしっかりと安全対策を講じていけばまだまだ利用可能な技術だと思っている。議員はシュミレーションはできないというがシュミレーションは可能。利用不可能な技術だと決めつけるものではない。

堤議員
福島原発の時によって放射性物質は広大な範囲に広がっている。政府が安全対策の為に行おうとしているテストは、今の原発の安全性を認識できるものでしょうか。

知事
政府が追加的にしようとしているテストだけで安全性を確認できるとは言っていない。これまでもやってきた技術の積み重ねもできるし、今回政府のいうテストの他に色んな事態を再現したりあらゆる手を使いながら基準を十分に新しい技術・経験の中で検証して地元の皆さんに納得してもらう事が大事。 今回の事故が起きたので何もできないのだというのはあまりにもこれまでのエネルギーに対する認識が一方的ではないかと思う

堤県議
我々は5年10年かけて段階的に廃炉にしていき、自然エネルギーに転換をしていくというのが主張である。伊方原発は老朽化しており断層の上に建っているという地域で大変危険という事を認識して、四国電力には廃炉を求めていくべきと強く要望していくべき

知事 
原子力発電所の事故については大変深刻に受け止めている。避難等余儀なくされた方々には早く元の本職に戻れるように願っている。今後の原子力発電所の政策にはさらに一段と厳しい安全を見なければいけない。少なくても短期的には今の状況でやらざるを得ない。中長期的にどうするかという事については、これから色んな議論があるだろうと思っている。堤議員が今すぐではなく五年後十年後という話であればそれはそれでよく考えておかなければならないテーマだという風に考えている。 そこは誤解のないよう。

堤議員
大分県は九電に売電事業をやっており、今回の会社ぐるみの玄海原発再稼働推進の「やらせメール問題」は、大きな社会問題です。今回の説明番組では、賛成が286件、反対が163件です。賛成のうち141件がやらせメールでした。賛否が逆転するんです。組織的に世論を捏造することを会社ぐるみでやるという体質が九電にはある。このような「やらせメール」を平然と行うことは、「原発は安全だ」という言葉が到底信用できないのは当然であります。県としても抗議を行う予定なのでしょうか。また、このような九電に県民の安全は任せられないという立場から「再稼働させない」という強い意志を示すことが重要であると考えますが、答弁を求めます。


知事
原子力発電の安全性について国をあげ、住民一人一人が考えている時にやらせメールという事が起こったのは誠に遺憾。九州電力に対しても厳重に注意を促していきたい。佐賀県の伊方原発の問題なので大分県としてどうのこうの言う立場ではない。伊方の原子力発電所の再稼働については安全性について国や九州電力が説明し住民の納得してもらうという事が大事。引き続き努力をしてもらいたい。

堤議員
九州電力に対して抗議をするという認識で良いのか

知事
原子力発電所の安全性についてしっかり説明し住民の納得を得て電力の安定供給をはかってくれとよく言ってること。そう言う中で今度の問題は住民の信頼を裏切るもの。私からも九電に言っておきたい。

堤議員
今回の防災計画再検討委員会の提言書の中には、原発事故対策は全く記述がありません。伊方原発から130キロ離れた徳島県でさえ事故後直ちに原子力発電所災害対応方針を決定し、対策を講じています。県として平成19年に策定をした「放射性物質事故対策計画の見直し」について、今回の原発事故を受けて直ちに改定すべきと考えますがどうでしょうか。

知事
防災計画の中に原子力発電とは言っていないが、放射性物質事故対策計画がある。中身については今日やらなければならないことが一つ一つ書いてある。むしろモニタリング等の要因や機器の整備は大丈夫かという話もあった。計画に沿ってまずは、モニタリングの体制を整えるという事でその事に力を入れていきたいと思っている。

堤県議
方針書の中に系統図というのがある放射性事故災害情報伝達系統図の事業者というのが含まれている。中身をみると県内の医療関係とか放射能を扱う所に対する対策がメインになっている。まさにそれ以外の放射能事故に対する対策ではない。今回の事故が起きた以上は計画の見直しも原発を想定した計画にするべきだ。原子力や放射能の専門家の配置、監視体制の強化が必要だと考えますが、この計画の中に入れるのか。

知事
申し上げの通り、原子力発電所の事故は想定していない。計画の中で放射性物質飛散なども入れているので読めなくはないと思う。安全防災計画というのは色んな事態を見ながら必要に応じて新しい対応しながら書き足していくという事が大事、これから国の方も原子力発電の議論が行われると思うがそれを見ながら、その辺を見ながら柔軟に対応していきたいと思う。

エネルギー政策について

堤県議
大分県は地熱や温泉熱、小水力などの自然エネルギー自給・供給率は全国一です。自然エネルギー供給先進県として、全国に先駆けて、わが党が「原発からの撤退」提言でも言っているように「原発からの段階的撤退と自然エネルギーへの転換」を国に求めると同時に、県としても予算を増やし、自然エネルギー供給体制を強化することが必要と考えますが答弁を求めます。

商工労働部長
中長期的な視点としては、自給率や環境面からも再生可能エネルギーの導入拡大を進めるべきであると認識している。県としては今年3月に策定した新エネルギービジョンに沿って、再生可能エネルギー日本一の自負の下、その多様な導入の推進と地場企業等による技術開発を進めている。本県ではこれまで太陽光発電の県有施設への導入と併せ市町村施設への導入支援を進めた結果、県庁舎や小中高等学校などへの導入件数が37施設となり、合計発電量は、1042KWと、メガソーラーに匹敵する他、住宅用太陽光発電への県の助成等もあって、2212月時点の県内の個別住宅当たり普及率は前年の全国11位から4位になった。技術開発や事業化についても、廃食油・焼酎粕の燃料化や製材向け木屑ボイラー導入等バイオマスを含めて広範に視点している
今後は、地熱・温泉熱や小水力など本県の個性的なエネルギー資源を活かして、再生可能エネルギーの導入促進を一層図るとともに、技術開発の推進と地場企業の連携等によるエネルギー産業の振興に努めていく。

堤県議
太陽光発電を27年度までに二倍化にしよう、小水力発電にも取り組んでいこうとしている。だから大分県が率先して国に知らせて、国を動かすことも大事。例えば日本の自然エネルギーは、大きな可能性を持っています。 現在の技術水準や社会的な制約なども考慮し、実際のエネルギーとなり得る資源量(エネルギー導入ポテンシャル)は、太陽光、中小水力、地熱、風力だけでも、20億キロワット以上と推定されています。これは、日本にある発電設備の電力供給能力の約10倍、原発54基の発電能力の約40倍です。原発の発電能力は全体で4885万キロワットですが、太陽電池パネルを全国的規模で公共施設や工場、耕作放棄地などの低・未利用地に設置すれば1億〜1億5000万キロワットあると推計されています。この豊かな可能性を現実のエネルギーとして実用化するとりくみをすすめることは十分可能です。県として全国に先駆けてこの立場に立つべきと考えますが答弁を求めます。

商工労働部長
わが県は再生可能エネルギー供給及び自給率は日本一でありますので引く続き3月に策定しました新エネルギービジョンに沿って再生可能エネルギー導入していく。その際には再施可能エネルギーのもっている、天候に左右されるといった論点、例えば日照量、風量、水流量こういったものをしっかり検討しながら、いかに効率的にエネルギーに変換していくかの技術開発のイノベーションも必要になってくる。特に小水力について風力と併せてしっかり対応していきたいと思っている。

堤県議
財源の問題もあると思うが、原子力政策を進める時の、電源開発促進税は5年間で2兆円以上が使われている、自然エネルギー対策には6500億円しかない。大分県としても厳しい中でも自然エネルギー進めている。国も原子力政策の財源から自然エネルギー財源に回すよう、国に予算も含めて言うべきではないか

商工労働部長
国のエネルギー政策については、知事が紹介したように、地方知事会からもエネルギーに関する様々な選択肢のページも含めたエネルギーのビジョンを具体的に示される事がまず必要。当面の電力の安定供給というのがわが国の経済雇用の観点から必要であるという事も含めしっかり対応を図ることが必要。その状況認識の中で、中長期的には再生可能エネルギーの導入というのは進めていくべきと考えている。こういった問題意識が私ども足元の電力の安全安定な供給との関連においてどういう風に続けられていくのか、しっかりと注視し必要な対応を行っていく。

堤県議
大分県として自然エネルギーを重点として原発からの脱却を強く要望します。

住宅リフォーム助成制度について
堤県議

今回の「おおいた安心住まい改善支援事業」については、住宅リフォーム助成制度の一形態として評価しています。しかし市町村との共同事業となっていることから、住んでいる市町村によって差が出てはならないと考えますが、どのような対策を講ずる予定なのでしょうか答弁を求めます。

土木建築部長
「おおいた安心住まい改修支援事業」については、高齢者や子育て世帯の安心・安全を確保する居住環境の向上と、地域経済を支える地場の中小工務店などの活性化を目的としていることから、地域の実情に詳しい市町村の福祉部局や、建設部局等との連携が不可欠と考えている。県としては、全市町村に対し、事業の説明と予算措置等のお願いをしてきたところ、現在、別府・中津・竹田・豊後高田・由布・国東の6市が、6月補正予算に計上し、8月から募集を開始する。残り12市町村のうち6市町村についても、9月補正予算計上を検討している状況と聞いている。県の広報や新聞報道等で、この制度を知った県民の方々から、多くの問い合わせを頂いており、特に簡易耐震や子育て支援など、本事業に対する関心の高さを強く感じている。今後も、未実施の市町に、事業の必要性やその意義について理解を求め、早期に全市町村で制度利用が可能となるよう努めたい。

堤県議
大分市も含め強力にこの制度を作るように進めてほしい。使い勝手の良い要項で申し込みが増えるような努力も必要です。あわせて、悪質リフォーム業者の参入を防止するということも必要です。悪質リフォーム業者にどう対策を取るのか答弁を求めます。

土木建築部長
大分市については引き続き努力していく。悪質リフォーム業者は県に登録している業者は、県の研修等受けまた良好な過去の実績があるという一覧があるので要望があれば情報提供することは可能。

堤県議
「住まい見守り隊」への登録もあるでしょうが、幅広く中小業者団体にも制度の説明を行い、門戸を広げるべきと考えますが、いかがでしょうか。また今後申し込みが増えれば、予算の増額や誰でも使えるような制度の拡大については検討するのでしょうか、併せて答弁を求めます。

土木建築部長
門戸を広げることはこれからの検討課題にしていきたい。中小の方が受注機会のあるような制度にしていきたい。制度の二重使用とかがないように、県下各要望の方が 同一の基準でこの事業が受けられるように、その都度要項の見直し等はしていかなければならないと考えている

県立美術館構想について
堤県議 
県立美術館についてわが党は反対するものではありませんが、建設されれば今後の維持管理費や収蔵品の買い取りなど経費がかかってきます。建設するとしても様々な県民の声や芸術文化関係の専門家の声を十分に反映すること。そしてそういう人たちの納得と合意のもとで実行していく必要があると考えますが、答弁を求めます。

企画振興部長
県立美術館建設については、これまでも、幅広く、県民の皆さんからご意見を伺ってきた。例えば、一昨年、「安心・活力・発展プラン2005」の推進委員会において、「他の美術館や県の文化施設との連携を図るべき」「地域の子どもたちが芸術に触れる仕組み作りが必要」と言ったご意見をいただいた。また、先月末、「おおいた子ども子育て応援県民会議」でも、「子どもや若者、子育て中のお母さんたちが入ってワークショップ形式で美術館づくりを進めてほしい」というご意見も頂いた。また、美術館開館後の運営についても、常に県民・利用者の立場や専門的な立場からご意見を頂くことが必要と考えている。こうしたご意見を美術館づくりに反映するとともに、管理運営にもいかし活かしていきたい。

堤県議
入札方式としてプロポーザル方式となっているが、コンペ方式にしない理由は何でしょうか。

企画振興部長
検討過程の中で広く公募を募るという観点の中から、公募型プロポーザル方式を採用予定している。第一段階で広く公募しそこでふるいにかけさらに提案を受け最終的にプロ―ポーザル方式で決定させ手頂く手法をとろうとしている。コンペ方式になると設計書そのものを採用することになる。公募型プロポーザル方式で広く良い提案を集め、そして施主である大分県、県民の皆さんのご意見を設計過程で反映させるということから公募型プロポーザル方式を採用している。

堤県議
設計過程の段階で芸術文化の専門の方の意見または県民の声を反映させていくという認識で良いか

企画振興部長
はい

堤県議
大分市美術館が近くにあり所蔵品も似ているのも多い。県立と市立というすみ分けをどうするのでしょうか。

企画振興部長
新たな県立美術館の使命として、次の4点をしっかり果たすことが大切であると考える。1点目は、県立美術館では、県全域の美術を対象とし、例えば、糸園和三郎、岩沢重雄、中山忠彦など県ゆかりの作品を収蔵し、常設展示等を通じて、本県芸術全体の情報発信を恒常的に行う事。2点目は県美展応募者が毎年、他県平均を大きく上回るなど、伝統的に旺盛な県民の創作活動を次代に受け継いで行く環境を提供すること。3点目は、日展の巡回展など、全国規模の展覧会の開催を通じて、県民が一流の美術品を鑑賞する機会を提供すること。4点目は、学校教育における美術振興を図ること。このように県立ならではの役割を果たすことで、おのずから棲み分けが出来るものと考えている

堤県議
芸館のホール棟を残してほしいという声があるが今後の方策はでているのか

企画振興部長
芸館の取り扱いは決まっていない。教育委員会が判断する。美術館ができるまでは収蔵品等があるので維持する方向

堤県議
ホール棟を残す方向で検討してもらいたい。また戦争の悲惨さを後世に伝えるためにも、「戦争遺跡・資料」の常設展示等も必要ではないかと考えますが答弁を求めます。

企画振興部長
歴史的意義があり県民に伝えるべき美術資料については積極的に展示していきたい

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8月3日 討論

64号議案「平成23年度大分県一般会計補正予算」について
平成23年度補正予算額は、総額で5464900万円となっています。法人税等が東日本大震災の影響で減収した反面、個人県民税等は増収の補正となっています。平成19年度より住民税の増税が実施され、生活は大変厳しいものとなっていますが反面、製造業大企業は、東日本大震災の影響を下請け企業への発注停止や、派遣労働者、業務請負労働者などを雇止めにして、利益のみは確保しようとしています。さらに、政府は社会保障と税の一体改革と称して消費税を2010年代半ばまでに10%にするという、庶民増税方針を打ち出しました。大企業には減税をし、資本金10億円以上の大企業には内部留保が2009年度決算では244兆円もため込まれています。今こそ大企業への減税を元に戻し、消費税増税中止、地方交付税や国庫補助金など、地方自治体財政の確保と増額をするよう求めるものです。一方歳出予算では、県民にとって必要な事業もありますが、国直轄道路事業負担金や中津港等ダイハツのための航路しゅんせつ、臨港道路事業が計上されており、さらに高潮対策として新日鐵の工場に隣接している護岸防波堤をやりかえる予算として6400万円計上されています。 また、大分インテリジェントタウンは、これまでも県として売却を進めてきたが結局は2区画が残り、その用地を公社から約43800万円で購入する予算となっています。しかし売却が進まなければ購入価格より安く売却することになり、その差額は結局、県民の負担となってしまいます。大分臨海工業地帯6号地C2地区や流通業務団地造成事業等と同様の企業誘致のための用地造成事業の失敗したものであります このような大企業優遇の公共事業重点の予算から、以下のような県民の暮らし福祉応援の予算への転換こそが必要であります。福祉分野では、高すぎて払えなくなっている国民健康保険料に対し、県独自の助成で引き下げをすべきあります。また子ども医療費助成制度では、多くの住民の願いである、「中学卒業までの無料化」や「2000万円あれば実現可能な入院給食費の無料化」についての住民の声には応えようとはせず、一部負担金を続けています。大分県の将来をになう子ども達にこそ医療費無料化のための補正予算を組むべきではないでしょうか。教育予算でも、子どもたちの健やかな成長のためにも30人学級の拡大を実施すべきであります。雇用問題では公務労働を行財政改革の対象として、さらなる県職員や高校・義務教育の教職員の削減を行おうとしています。精神疾患が全国的にも増えており、教育の充実と県民へのサービス提供の充実のためにも削減は中止すべきであります。さらに、県は企業が進出すれば、雇用が増える、税収が増えるという議論のもと、県民の税金を134億円も投入してきました。しかし西日本最大の派遣切りをした大分キャノン等には、全く指導も改善も求めてきませんでした。県として進出大企業に対し正規雇用の拡充こそ求め、雇用の質を高めるための積極的な施策を実施することが必要であります。そして今やこの流れは農業や林業にも持ち込まれ、企業参入や法人化の促進など大規模経営に特化した補正予算ともなっています。これでは大多数の家族経営農家は生き残れません。林道など公共事業も必要なところもありますが、まず予算の主軸を農林水産業支援にすべきであります。また、大分県立美術館建設については、一般質問でも指摘したように「箱物先にありき」ではなく、広く県民が芸術に親しめるように県民・専門家の意見を反映したものになることを強く求めるものです。以上のように、日本共産党として大分県の基幹産業である農業や、雇用の受け皿及び経済活動の活性化の底上げとして、サービス業や卸小売業など県内中小企業へ支援を重点とした補正予算を組むこと。あわせて、増税や社会保障切り捨て、医療費の負担増に喘ぐ住民の暮らし福祉応援の予算にすることを強く求め、反対討論とします。

71号議案「大分県職員定数条例の一部改正」について
 今回の定数条例の改正では、県職員定数等321名、各々削減するものです。実数でも昨年に比べ78名の削減となっています。これは中期行財政運営ビジョン開始の平成21年度の削減から、この3年間で一般行政職だけ見ても775名もの削減となっています。県職員の多忙化と出先機関等の統廃合によって過密労働が強まり、身体・精神の疾患も急増していく危惧があります。併せて地域経済にとっても職員の削減は多いに影響します。今回の削減案は、中期行財政運営ビジョンで「削減先にありき」の姿勢で続けられています。このような削減案は、住民へのサービス向上にも、また人間的な働き方を求めることにも逆行します。到底賛成できません。

72号議案「大分県税条例等の一部改正」について
今回の条例改正は、上場株式等の配当所得および譲渡所得に対する軽減税率の特例期限をさらに2年間延長するものであり、大資産家優遇の逆立ち税制の何物でもありません。証券優遇税制は、株式の売却益や配当に課税する所得税や住民税を大幅に減税するものです。上場されている株式の売却益への課税は03年から特例として10%に半減されており、配当についても同様の措置となっています。この優遇税制をさらに延長しようというものであります。大分県では、平成22年度だけでも19300万円の減税となります。もともと株式売却益の税率は、利子、給与、他の譲渡益等に対する税負担水準とのバランスなどを考慮し、設定されたものであります。ところが、個人投資家を株取引に取り入れ、貯蓄から投資への流れを加速するために、証券税制だけを優遇する特例措置をとってきました。その面から見ても、ゆがんだ税制となっています。今回のような証券優遇税制は直ちに中止をし、逆立ち税制を転換するよう求めるものです。

73号議案「大分県税特別措置条例の一部改正」について
特に今回の条例改正では、企業立地促進法の同意集積区域における県税の課税免除をさらに2年間延長しようとすることに大きな問題があります。これで平成22年度は1,595万円の不動産取得税の免除をしています。今、県内の中小業者は景気悪化のなか、さらに東日本大震災の影響で塗炭の苦しみに追われています。こういう厳しい状況でも中小業者は県税などの税金はきちんと納めていますが、特定地域に進出する企業には不動産取得税等の免除を行う、余りにも不公正な措置ではないでしょうか。大企業が進出してくるときに県税を免除する必要はありません。このような不公平税制を是正することこそ必要ではないでしょうか。それを二年間も延長するなど、何の道理もありません。以上の理由から、今回の条例改正には反対をいたします。

76号議案「工事請負契約の締結」について(中津日田道路)
大企業ダイハツの陸上輸送手段確保のための工事契約については、大企業優遇のため反対します。

79号議案「大分県立学校職員及び大分県市町村立学校県費負担教職員定数条例の一部改正」について

今回の条例改正は、県立学校職員の定数を84人削減し、市町村立学校県費負担教職員の定数を27名増やすものです。国の小学校1学年の35人学級を受け先生を増員することは当然ですが、しかし平成20年から平成23年までの削減は両方合わせて488人にも上っており、実数でも事務の集中化による事務職員の削減と合わせ昨年に比べ145名も削減されています。さらに非正規雇用の割合も高くなり13.9%に達しています。いま必要なのは、教職員定数の削減ではなく、多くの保護者、教育関係者が強く望んでいる少人数学級を拡充すること、そして、正規教職員雇用の拡大で、どの子にも行き届いた教育環境を実現することが重要ではないでしょうか。少人数学級が学習面でも生活面でも効果をあげていることは全国でも本県でも実証済みであり、ゆきとどいた教育のためには、さらなる対象学年の拡大が求められます。現場の先生方は削減の中でも限界点ぎりぎりまで頑張っていますが、やはり増員を保護者も先生方も望んでいます。子どもの成長にとって現場の先生方はとても大切な存在です。また3年前の県教委による教員不正採用事件などの温床にもなった、過大な競争倍率の解消も含めて、教職員の定数のあり方を見直すことは緊急の課題です。県としてすべきことは、少人数学級の拡大や臨時講師など非正規職員の待遇改善のためにも正規教職員への転用。学校統廃合の再検討など、学校教育条件の整備・充実のために予算面からの支援が必要であります。以上の理由から今回の教職員定数の削減には反対し、増員こそ強く求めるものです。

議員提出第11号議案「教育基本法・学習指導要領の目標を達成するため、最も適した教科書の採択を求める決議」について

 本決議案では、教育基本法の改正で新たに「伝統と文化の尊重や我が国と郷土を愛する」ことが、教育の目標の一つとして示されたとして、教育委員会の委員そのほか学校関係者に、この改正の趣旨の徹底を図ることなどを求めていますが、愛国心とは本来、個人の思想・良心の問題であり、特定の心を強制することは憲法上許されないということが重要であります。教育として大切なことは、自国の歴史や文化などの事実にもとづく学習や、憲法の平和的民主的原則の学習を通じて、子どもが自主的に愛国心を考えていけるようにすることこそ大切なことです。そして教科書採択の本来の目的は、子どもの学習にもっとも良いものを選ぶことであり、そのためには実際に教えている各専門の教員の意見などが重視されなければならないことであります。本決議案では、教育基本法の目標のごく一部だけをことさら取り上げて、「この趣旨を徹底せよ」とすることは、結果として特定の教科書を採択せよと、議会が教育委員会に圧力をかけることになりかねません。従って、本決議案には反対といたします。

議員提出第15号議案「管直人内閣の早期退陣を求める意見書」について
菅内閣が東日本大震災や原発事故への対応でも多くの批判されるべき点があり、危機に対応する当事者能力を著しく欠いていることは言うまでもありません。また政治が本当に行き詰まったら国民の審判を仰ぐというのが一つの解決法ですが、現状の被災地の実態は、内閣を退陣させて解散・総選挙ができるような条件にはないことも明らかです。私たちはだれが総理であれ、被災地の救援・復興と原発問題の解決をしっかり行わせる立場で臨んでいきます。本意見書のように、震災問題と原発問題を民主党政権攻撃のために党略的に利用するだけでは、到底、被災地の皆さんや国民の理解と納得を得られないのは当然のことです。日本共産党は国会において、政局的な思惑ではなく、被災者の立場に立って具体的な提案をおこなったり、原発再稼働をめぐって「やらせ」の実態を明らかにするなど一つ一つ具体的な問題を提起し、政治を前に動かすために今後も全力で奮闘する決意です。わが党は以上のような理由から、本意見書には反対をいたします。

請願4号「原発からの撤退と自然エネルギーのさらなる活用に関する意見書の提出について」

この請願について、不採択に反対する立場から討論を行います。 まず510年以内という期限を切った目標に「原発から撤退するプログラム」を政府が策定することを提案するものです。九電や国の原子力安全保安院による「やらせ」問題等つくられた「安全神話」とウソの上に原発が次々に作られてきたことに、今国民の大きな怒りが出ています。このような原子力発電を続けることのあまりに巨大な危険を考えるならば、できるだけ速やかに原発から撤退することが強く求められます。同時に、電力不足による社会的リスクや混乱は避けねばなりません。また、CO2などの温室効果ガスによる地球温暖化を抑止するという人類的課題もあり、安易な火力発電などに置き換えるやり方をとるべきではありません。そのためにも自然エネルギーの本格的導入と低エネルギー社会への転換にむけて、あらゆる知恵と力を総動員し、最大のスピードでとりくむ必要があります。日本の総発電量に占める原子力発電の割合は25.1%です。例えば、510年の間に、電力消費量を10%程度削減する、そして、現在の総発電量の9%程度の自然エネルギーによる電力を2.5倍程度に引き上げることができるなら、原発による発電量をカバーすることができます。現在の原発以外の総発電量は、バブル経済だった1990年度の原発を含めた総発電量と同じ水準です。また、現時点で、日本にある54基の原発のうち稼働しているのは3分の1にすぎません。夏場の電力消費のピーク時への対応などが必要ですが、原発からの撤退は、無理な課題ではありません。撤退という決断をしてこそ、自然エネルギーの開発・普及と低エネルギー社会に向けた本格的なとりくみをすすめることができます。以上のように原発からの撤退と自然エネルギーの活用は実現可能なものです。自然エネルギー自給率と供給率日本一の大分県としてこの声をあげていく責務があります。また賠償問題では、福島第一原発の事故は原発の「安全神話」をふりまき、批判や警告を無視して原発建設を推進してきた「人災」であることが明らかです。原発から利益を得てきた東電と、その大株主である大銀行などに賠償責任を求め、最大限に負担させることは当然です。原子力災害の賠償制度に照らしても東電が「一義的な賠償責任」を負っているのは明らかなのに、政府は電力供給を理由に、東電が損害賠償に必要な資金を「上限を設けず、何度でも」援助するとしてきました。成立した第2次補正予算にはそのための交付国債発行と政府保証の計4兆円を計上するありさまです。福島原発の事故から4カ月半たっているのに、東電は賠償責任を果たすどころか、避難を続ける住民や、農漁民、中小企業者などに対する賠償の仮払いを一部にとどめ、被害を受けた人たちの不安と苦しみを加速しています。学校や福祉施設には仮払いを拒否しようとするなど、賠償責任を果たしていません。その姿勢をただちに改めさせ、全面賠償のため東電の全資産を最大限に賠償にあてることはもとより、株主や債権者などにも負担を求めるべきです。これを実行させることこそ政府の責任です。あわせて、電力業界には、これまで電気料金から徴収し積み立ててきた使用済み燃料再処理等積立金が約25000億円、核燃料の後処理費用として電気代から積み立てる16兆円などがあり、業界全体として財源は十分にあります。県議会として請願の趣旨や項目の立場に立つことを求め、請願の不採択に対する反対討論とします。

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2011年第2回定例会

会期 7月
7日から8月3日

以下の議事録は正式な議事録ではありません
**正式な議事録につきましては、大分県議会ホームページをご覧ください**

7月20日 一般質問
広瀬県政について 
防災対策について
  防災計画について 
  災害時の対応について 
  防災計画の見直しの基本姿勢について 
  臨海工業地帯の防災対策について 
  原発事故について 
  原子力発電所について 
  エネルギー政策について 
住宅リフォーム助成制度について 
県立美術館構想について 

8月3日 討論
第64号議案23年度大分県一般会計補正予算 に対する反対討論 
第71号議案大分県職員定数条例の一部改正 に対する反対討論 
第72号議案大分県税条例等の一部改正 に対する反対討論 
第73号議案大分県税特別措置条例の一部改正 に対する反対討論 
第76号議案工事請負契約の締結 に対する反対論 
第79号議案大分県立学校職員及び大分県市町村立学校
     県費負担教職員定数条例の一部改正 に対する反対討論 
議員提出第11号議案教育基本法・学習指導要領の目標を達成するため
     最も適した教科書の採択を求める決議 に対する反対討論 
議員提出第15号議案管直人内閣の早期退陣を求める意見書 に対する反対討論 
請願4号原発からの撤退と自然エネルギーのさらなる活用に
     関する意見書の提出 の不採択に対する反対討論 

日本共産党大分県議団
7月20日 一般質問
8月3日 討論