2013年第1回定例会

会期 2月27日から3月28日30日間

以下の議事録は正式な議事録ではありません
**正式な議事録につきましては、大分県議会ホームページをご覧ください**

3月6日 質疑
防災・減災対策等の公共事業について
金融円滑化法終了後の対応について
小・中学校教職員の退職について
大野川上流圏域河川整備計画について
既設の県営住宅改善事業について

3月7日 討論
24年度一般会計補正予算(反対討論)
24年度大分県流通業務団地造成事業特別会計歳入歳出決算について(反対討論)
24年度大分県臨海工業地帯建設事業特別会計歳入歳出決算について(反対討論)
24年度大分県港湾施設整備事業特別会計歳入歳出決算について(反対討論)
24年度大分県工業用水道事業会計利益の処分及び決算認定について(反対討論)

3月13日 一般質問
雇用の安定について
中小企業対策について
 下請取引の適正化及び今後の資金需要対策について
 住宅リフォーム助成制度について
TPP問題について
憲法9条の認識について
日出生台演習及びオスプレイの国内訓練問題について
いじめ対策について提案

3月28日 討論
25年大分県一般会計予算(反対討論)
25年大分県流通業務団地造成事業特別会計予算(反対討論)
25年大分県臨海工業地帯建設事業特別会計予算(反対討論)
25年大分県港湾施設整備事業特別会計予算(反対討論)
25年大分県工業用水道事業特別会計予算(反対討論)
24年大分県工業用水道事業会計資本剰余金の処分について(反対討論)
大分県条例等の一部改正について(反対討論)
地方自治体の主体性の保証を求める意見書(見解)




                 主な議案に対する各会派の態度と結果
        2013年第1回定例会では、77本の議案に対して69本賛成、反対8本しました。
                        

        議案・請願・意見書など          結果 共産 県民ク 自民・無 自民 公明 新しい風
24年度大分県一般会計補正予算(第5号) ×
24年度大分県流通業務団地造成事業特別会計補正予算 ×
24年度大分県臨海工業地帯建設事業特別会計補正予算 ×
24年度大分県港湾施設整備事業特別会計補正予算 ×
24年度大分県工業用水道事業会計補正予算 ×
25年度大分県一般会計予算 ×
25年度大分県中小企業設備導入資金特別会計予算
25年度大分県流通業務団地造成事業特別会計予算 ×
25年度大分県林業・木材産業改善資金特別会計予算
25年度大分県沿岸漁業改善資金特別会計予算
25年度大分県就農支援資金特別会計予算
25年度大分県臨海工業地帯建設事業特別会計予算 ×
25年度大分県港湾施設整備事業特別会計予算 ×
25年度大分県病院事業会計予算
25年度大分県電気事業会計予算
25年度大分県工業用水道事業会計予算 ×
おおいた元気創出基金条例の制定について
大分県税条例の一部改正について ×
大分県立美術館の設置及び管理に関する条例の制定について
大分県新型インフルエンザ等対策本部条例の制定について
大分県介護基盤緊急整備等促進基金条例の一部改正について
障害者自立支援法等の一部改正に伴う関係条例の整備について
大分県自殺予防対策強化基金条例の一部改正について
大分県中小企業活性化条例の制定について
大分県緊急雇用創出事業臨時特例基金条例の一部改正について
24年度大分県工業用水道事業会計資本剰余金処分について ×
地方自治体の主体性の保証を求める意見書
高齢者の肺炎球菌ワクチンへの公費助成について 継続審査
四国電力伊方原子力発電所再稼働に反対する意見書の提出について 継続審査
 

                                第1回定例会TOP 

3月6日 質疑
1 防災・減災対策等の公共事業について
堤県議
今回の補正予算は、防災・減災や社会インフラの老朽化対策、産業の構造改革など、国の補正予算を受入れ、早期の景気・雇用回復につなげるための13カ月予算と位置付けられています。防災等の公共事業は必要ですが、県内中小企業への発注によって地域経済の活性化を図る必要があります。そこで県内中小企業への発注及び、大分県経済にどのような効果があると考えているのでしょうか。知事の答弁を求めます。
広瀬知事
今回、上程致しました補正予算案では、国の緊急経済対策に伴う事業を積極的に受け入れ、県としても急いで取り組むべき防災・減殺対策や社会インフラの老朽化対策、産業の構造改革に総額で約255億円を計上しています。

併せて、県単独事業も前倒して実施発注出来るよう、債務負担行為を30億円設定し、切れ目のない執行により、県内景気の回復を後押しするものです。公共事業等の発注についてですが、昨年度は95%以上を県内の中小企業が受注してまいります。こうした公共事業により総需要が喚起され、雇用の創出、ひいては県内消費の拡大につながるなど、県経済に直接及び間接の様々な波及効果をもたらすものと期待をしています。
堤県議
県経済の波及効果を期待するという事で今日の新聞を見ますと昨年の倒産が18件で若干数字は減っているが、県内中小企業の倒産、廃業は厳しい状況は続いている県内中小企業への発注は続けてほしい。またそこで働いていた一級施工管理技士など技術者の不足が深刻な状況が一面ではあります、公共事業の指名を辞退する業者も出ていると聞きます。また県としても建設業の構造改革と称して、他産業への転換等推進していますが、このような技術者不足をどうやって解消していくのでしょうか。
広瀬知事
県が発注する工事については出来るだけ県内の業者に発注するよう色々工夫をしているところであります。また下請けを使わざるを得ないという場合に仕様書においてその場合でも県内業者を下請けに使うよう指導している。建設資材等を調達することもあるが、この場合でも県内で産出されるものや大分県リサイクル製品を優先して使用してもらうという事もしている。資材の発注も県内業者を優先的に活用する事につとめている所です。今県内で建設業の許可をもっているのは約4600社この内県発注工事の入札参加資格を持っているのは約2200社でこの内年間発注工事件数の45%を占める土木一式工事の資格を有するものは1539社あります。その中で23年度に県が発注しました土木一式工事は1268件のうち126199%これを県内の中小企業が受注をしています。この内の2000万円未満工事を対象としてC級D級といわれる業者が中心ですが、受注件数が686件という事で半数以上を占めているという状況です。23年度の数字ですが今度の補正予算におきましてもこれまでの実績を頭におきながらこういう事も踏まえて、小規模な企業の受注機会が拡大維持確保されるようにやっていきたいと思っています。受注機会は出来るだけ県内の中小企業小規模企業にもチャンスを与えたいと思っている。県内隅々まで行き渡るようにしたいと思っています。
堤県議
小規模企業社も含めて中小企業への拡大を図って頂きたい。技術者不足の状況はどうか
土木建築部長

技術者の育成については、大分県建築技術センター等の研修会通じて技術者の育成の支援に努めている。

2 金融円滑化法終了後の対応について
堤県議
今回の補正予算では中小企業金融円滑化借換資金として、5億円の融資枠を設定するようになっています。昨年の12月議会でもこの問題を取り上げましたが、金融担当大臣の「金融機関が貸付条件の変更等や円滑な資金供給に努めることは、円滑化法の期限が到来しても何ら変わるものではない」という談話について、「九州財務局等が説明している」と答弁がありましたが、その後金融機関や「大分県中小企業サポート推進会議」において、法終了後の対策はどう進んでいるのでしょうか。答弁を求めます。 
商工労働部長
県においては、先月末に、金融期間に対し、金融円滑化法終了後も貸付条件の変更や円滑な資金供給に努めるよう要請するとともに、今月には特別相談窓口を設置した。また、金融機関においても、条件変更先に対し、法終了後も対応が変わらない旨周知するよう、各支店に指示を徹底していると聞いている。一方、「中小企業サポート推進会議」においては、構成員に加えて、金融機関の支店長や商工団体の経営指導員、中小企業経営力強化支援法に基づく認定支援機関等を対象とした研修会を開催した。研修会では、各種支援施策についての情報提供や経営改善等に関する個別支援事例を紹介し、多数の参加を得た。今後もサポート推進会議による関係機関の連携強化を図り、県内中小企業に対する支援のさらなる気運の醸成と実践を推進していきたい。
堤県議
融資枠をとっても金融機関や保証協会が選別をすれば何ら救済にはなりません。特に小規模事業者に対しては、経営改善計画の策定が難しい事例もあると考えられるが、小規模事業者に対して県として対策をどう取っていくのでしょうか。サポート推進会議の中で零細業者について別で金融機関と直接保証協会と話をするという方向が強いのかなと思います。小規模事業者に対策はどう考えているのか。
商工労働部長
小規模企業については経営の改善について規模、体力の面で困難が一般的に良く見られる事だと思います。但し小規模企業にどのような対応策を取られるかについて個々の企業の状況に応じてしっかりと考え方をサポートする側も小規模企業側も共有する必要があります。まさに考え方を共有するための知恵アドバイスこれを中小企業支援にまわる側中小企業サポート推進会議のメンバーであるがここが知恵と知識と熱意を持っていく必要がある。しっかりと育み、各小規模企業の支援に展開していく。
堤県議
小規模事業者が窓口に行った場合充分な相談にのるという事を確認したいが。
商工労働部長
事業の規模の大小に関わらず様々な相談にしっかりと対応したい。

3 小・中学校教職員の退職について
堤県議
補正予算案では、職員の退職者増によって手当が7億7,388万円余り増える予算案となっています。これは「義務制の先生たちの勧奨退職が多いので」と聞きました。義務制の先生たちの高齢化が進んでいるという要因もあるでしょうが、職場環境の厳しさにも要因があるのではないでしょうか。 また、熟練の先生方の減少で教育内容に支障が出てはいけませんが、それに代わる若い先生たちの増員についてどのように考えているのでしょうか。併せて答弁を求めます。
教育長
退職者増の要因については、小中学校では、50歳以上の教職員が全体の約半数を占め、平均年齢は、毎年上昇を続けています。このような状況の中で、家族の介護や自身の病気療養に専念するなどの理由から、定年前退職を決断したものが増えており、職場環境が原因とは考えていない。今後の対応は既に定年退職者の増加を見据え正規採用を前倒しし、採用数を増やしている所であるが、学校運営の支障が出ないよう、今後の教職員の採用計画に早期退職の影響を反映するなど、教職員の人材確保に努めてまいりたい。
堤県議
若い先生たちが増えてくるわけだが、現場を体験された臨時講師等もきちんと選考の中に含めているのか。臨時講師を入れるという事も考えているのか。
教育長
新しい教職員に優秀な人材を確保するという事は極めて重要な課題です。しかし採用の過程において、厳正公正な選考するという事も大事な事です。臨時職員として現場に立った方だけをそういう理由で優先採用するという事は出来ない。試験の中で模擬事業をやっています。まさに現場で教員が教えるという力をしっかりと見るという事もあり、実際に教える力がある先生を確保したいと考えています。
堤県議
「芯の通った学校組織」推進プランでは、「初任者等に対し、互見授業や校長の巡回、公開授業など緊張感の中で指導力を高める」とありますが、緊張感だけで指導力というのは高められるのでしょうか。これだけが独り歩きし、「上からどう見られるのか」という疑心暗鬼に陥り、教師の創造力や子どもや保護者との信頼関係を作る上でも悪影響が出るのではないでしょうか。若い方の指導力の強化をどう見るのか答弁を求めます。
教育長
教員の大量退職時代をむかえて、新しい先生が沢山入ってきます。その先生たちをいかに力をつけてもらうかという事で、管理職が上から管理を強化するという事によって力をつけるという方向ではありません。今回研修体系の見直しをしました。初任者研修というのが1年だったが、3年に分けて講義、それを持ち帰ってのOGTを中心とした研修を強化しています。現場でのベテランの先生の優れた教育力をOGTの中でされていくという形を考えています。自己啓発も大事であり、教育委員会のホームページで動画を配信されている。その動画の中で優れた授業を行っている先生の様子を配信するなど自分で自己啓発に努めるという取り組みも進めている。若い先生方が自発的に力をつけていくという事に努めていきたい。
堤県議
若い先生達の積極的な声を聞いてほしい。

4 大野川水系上流圏域河川整備計画について
堤県議
昨年の豪雨災害による玉来川や花月川などの河川改修事業があります。玉来ダム問題や河川整備計画など総合的に検討しなければならないと考えます。昨年の豪雨災害の教訓を大野川水系上流圏域河川整備計画に対し、どのように反映させるのでしょうか。答弁を求めます。
土木建築部長
大野川上流域の治水対策については、昭和57年や平成2年などの過去の水害状況を踏まえ、大野川水系上流圏域河川整備計画を策定し、稲葉ダムの建設や河川改修を行ってきた。被害の大きかった玉来川について、昨年7月の洪水をもとに現行計画を検討した結果、玉来ダムが完成すれば、現在の河道で対応できると考えられることから、計画の改定は行わないが、今回の被害状況を踏まえた緊急的な災害対策を進めていく。具体的には。事業中の玉来ダムや矢倉川河川改修の早期完成に努めるとともに、玉来川においてはダムが完成するまでの住宅地等の浸水対策として、湾曲部などで流れの支障となる箇所の拡幅や止水壁の設置を行う。また、その他の河川についても、緊急度の高い箇所の河床掘削等を実施し、治水安全度の向上を図っていく。
堤県議
地域住民の玉来ダムの要望があるのは聞いている。712日未明の氾濫時の時間雨量の暫定値では、稲葉川上流域に比べて、波野地域では1.5倍の雨量を計測しています。このような雨量問題やこれまでの河川改修など総合的に考えて進めなければならないと考えますが答弁を求めます。
土木建築部長
原動の稼働で対応できると考えている。
堤県議
九電の竹田ダムについて流木等の引っ掛かりや、放流の時期の問題、人が常駐していない問題など、下流で家を流された住民が疑問を持っています。県としてこのような問題について原因調査したのでしょうか。
土木建築部長
被災後に現地を調査し、当時の洪水の様子を確認し、その事も含めて地域の方々には安心して頂くために説明をしています。

5 既設県営住宅改善事業について 
堤県議
既設県営住宅改善事業費については、敷戸新町の県営住宅のバリアフリー化等の改善事業ですが、県下の今後のバリアフリー化の計画はどうなっているのでしょうか。答弁を求めます。
土木建築部長
県営住宅のバリアフリー化については、エレベーターや手すりの設置、住戸内の段差解消等を対象としている。県では、平成4年以降全域でバリアフリー化を進めており、24年度以降県内全域でバリアフリー化を進めており、24年度末で1,695戸が改修済となる。これは全戸数の約20%にあたる。敷戸新町の全面的改善事業は22年度から実施しており、今回の補正予算で261戸に着手し、26年度には当初計画の5169戸が完了する予定である。25年度に修繕・改善事業の実施計画である「大分県公営住宅等長寿命化計画」を見直すこととしており、その中でバリアフリー化についても実施個所や工法等を検討する予定である。堤県議
バリアフリーは非常に望まれていますが、それが家賃に反映しないように工夫をするように。

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3月7日 補正予算反対討論
24年度一般会計補正予算について
今回の補正予算は、国の景気対策等を受けて事業を実施するものが主な内容となっています。この中には重要港湾整備など大企業優先の公共事業も含まれていますが、東九州自動車道の整備や防災工事やトンネル等の点検補修、これらは住民の利便性アップや安全にとっても大切なものであります。このような公共工事が質疑でも指摘したように、大分県内の中小企業に発注され、地域経済の浮揚につながるよう求めるものです。また中小企業金融円滑化法終了後の借り換え融資枠の創設や安心こども資金、緊急雇用創出事業臨時特例基金などへの積み立てなど、一定評価できる面もありますが、一昨年実施された人事委員会勧告による県職員の給与0.28%削減では、約34700万円も減少します。平成21年度からの累計では479400万円もの減額です。給与等の削減は、家計消費を暖め、デフレからの脱却を図るという景気対策にも逆行します。民間や公務員の給与を引き上げる施策に転換するべきであります。また財政調整基金繰り入れについて、県民の暮らしと福祉向上のために、思い切って取り崩しをすべきであります。以上の理由から今一般会計補正予算に対する反対討論とします。

56号議案「24年度大分県流通業務団地造成事業特別会計補正予算」、第61号議案「24年度大分県臨海工業地帯建設事業特別会計補正予算」第62号議案「24年度大分県港湾施設整備事業特別会計補正予算」第66号議案「24年度大分県工業用水道事業会計補正予算」については、いずれも破たんした大企業優遇政策のもと推進してきたものです。このような事業のための税金投入には反対します。

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3月13日 一般質問
広瀬県政について
堤県議
昨年の総選挙で、民主党政権から自民・公明の第2次安倍政権に変わりました。自民党の大勝は、自民党の公約が支持をされたということではなく、小選挙区など選挙制度の弊害によってなされたものです。4割台の得票で8割の議席を占めるということからもこれは明らかです。国民は長らく続くデフレ不況からの脱却、社会保障制度や年金の充実で安心できる老後を、若者が安心して働ける雇用環境の安定、生活を破壊してしまう消費税増税中止など望んでいます。大分県政は、このような悪政から県民の暮らしと福祉を守る防波堤の役割を果たさなければなりません。

しかし広瀬県政はどうでしょうか。補助金漬けで企業立地をすすめ、大量の非正規切りが行われても企業へその中止を求めない姿勢。さらに産業集積を推進する一方で大分県の基幹産業である農業産出額は2011年では九州7県中5位で1,331億円となっています。知事就任の2003年では、産出額は1,427億円あったのが、この8年間で96億円も減少しています。また長期不況の中、個人・法人県民税の滞納額は、232700万円にも上っています。国民健康保険税の滞納世帯も加入世帯比18%の33,679世帯となっており、内保険証を交付していない資格証明書発行世帯は、4,267世帯にも上っています。さらに後期高齢者医療制度の短期保険証発行者も470人に上っています。県民所得も2003年の一人当たり平均263万円から229万円で34万円も減少しています。この実態は、いかに県民の暮らしが疲弊しているかを物語るものです。大分県政として県民の暮らしを応援する施策を積極的に行い、県民所得を増やしてデフレ不況から脱却しなければなりません。GDP6割を占めているのが家計消費であります。特に働く人の賃上げと安定した雇用の拡大が重要です。そこで以下の点について質問します。

雇用の安定について
現在働く人の賃金の低下と労働条件の悪化に歯止めがかかりません。昨年の勤労者の平均賃金は、1990年以降で最低となり、ピーク時の1997年より年収で約70万円も減っています。大分県民の雇用者報酬も1998年度と比べて2009年度は454,000円も減少し403万円になっています。全国でも非正規雇用が、労働者の3人に1人、若者と女性では2人に1人にまで広がり、年収200万円にも満たない労働者が1000万人を超えています。低賃金で不安定な働き方の非正規雇用の拡大は、正規雇用の労働者の賃金と労働条件の低下、長時間労働に拍車をかけています。これだけ減少すれば物を買う力が弱まるのは当然です。それがデフレに拍車をかけ、さらなる賃下げへと負の連鎖になります。その一方で大企業は内部留保をこの10年間で100兆円も積み増しされ、260兆円にも達している現実があります。例えばキャノンでは37,695億円もあります。この0.2%を取り崩せば、月1万円以上の賃上げができ、1%で15,000人の正規雇用を生み出すことができます。知事として経済団体に内部留保の活用を要請し、賃上げと正規雇用の拡大を求めるべきと考えますが、答弁を求めます。
広瀬知事
企業に対し、内部留保の活用により、賃上げや正規雇用の拡大を求めるべきとのお話ですが、内部留保は、将来への備えです。まずは、戦略的、積極的に設備や人材に投資され、企業の発展に結びつく環境を整えることが重要です。国内経済には、改善の動きが見え始めていますが、県内経済は全体として横ばいの動きであります。企業生産活動も一進一退です。このような時にこそ、景気・雇用対策にしっかりと取り組むことが必要です。国の緊急経済対策を積極的に受け入れ、投資的事業を前倒しで行うなど需要の喚起に努めると共に、県内企業が前向きに事業を拡大していける環境を整えてまいります。とりわけ、本県の経済を支え、雇用の重要な担い手である中小企業の活性化が必要です。本県産業の底力を発揮させるため、様々な業種にわたる産業集積を更に厚みのあるものとし、市場の拡大を図ります。企業誘致に引き続き取り組むとともに、地場中小企業が集積の一翼を担い、事業拡大や新分野に挑戦していけるよう支援していきます。また、緊急雇用の基金を活用し、県内中小企業等の事業拡大に伴う雇用の増加を後押しします。これらの取組により、本県経済の力強い成長を確かなものにしていかなければなりません。新政権は、「家計のための経済成長」を掲げています。経済成長は、働く意欲のある人たちの仕事を創り、頑張る人たちの手取りを増やすためであると。まことにその通りだと思います。政府は、産業界に対し、報酬の引き上げを要請し、これに応じて、賃金のベースアップや一時金の増額に取組む企業も出てきました。大分県におきましてもそれが出来ればよいのですが、99.9%が中小企業である本県においては、まずは、中小企業活性化をはじめとする産業振興にしっかりと取り組み、持続的な県経済の成長と雇用の安定の好循環を作り出す中で、中小企業の生産性を高め、雇用の安定と報酬の増加に繋がればよいと考えます。
堤県議
内部留保について、将来的な設備投資の問題だ、溜めておく必要があるという事だが、この10年間100兆円溜めている。本来それを設備投資に回していけば雇用や資材の購入で経済が循環する。それを溜めこんでいるから非常におかしな姿になっている。確かに99.9%は中小企業であるが、大分でも、キヤノン・ダイハツ・新日鐵と大企業はある。そういう企業を県として誘致を進めてきているから、内部留保を取り崩してでも、賃上げに使うように知事として要請をするべき。賃上げをすれば、労働生産性を引きあげ、物を買う力がよみがえる。毎月の給料が上がるという事は物を買う力を大きく伸ばしてくる。そういう点で内部留保を積極的に使って地域経済を活性させるという立場を県内の財界や国に対しても要請すべきではないか
知事
政府は既に余裕のある産業界に対して、報酬の引き上げを要請している。それに応じて経済界の動きも出ている。99.9%が中小企業である大分県の知事がその事について特段申し上げることはない。
堤県議
ローソンは20万人のうち正社員で若手の3300人がベースアップの対象になっているが、圧倒的多数の非正規雇用にはベースアップや一時金に反映されない。圧倒的多数の部分に反映されるような経済政策を取っていかないと、デフレの問題は解決しない。99.9%の中小企業のある県の知事だからこそ、財界に中小企業をもっと繁栄させるために雇用の安定をさせるために是非財界に要請をすべき。県内で働く若い人たちの雇用の安定は、将来の大分県にとってもまた税収増にとっても欠かせないものです。そのためにも立地協定書に正規雇用と大量解雇禁止を明記することも重要だと考えますが、答弁を求めます。
知事
財界に対して内部留保の話をすべきだという事だが、大分県の経済界は中小企業の集まりで、長引き不況の中でどう立ちあがっていこうかと悩んでいる。そういう所と悩みを共にしながら、経済のベースを良くしていき、従業員の福祉につなげていくということは大事だ。雇用の拡大という事は協定の中にもいれているが、正規と非正規の議論はやっていない企業誘致は、地域間で引っ張り合いをやって厳しい状況の中で是非来てもらうというのが今の企業立地協定の現状です。そこの所も良く理解をしてもらいたい。
堤県議
内部留保を使って賃上げ、ベースアップをする場合は効果があると認識しているか。
知事
内部留保は一生懸命貯めた預金だから、基本的にはこれを使ってさらに企業の技術開発や設備投資に投入をして生産性を高めていきながら、その中で賃上げをやっていくというのが通常の事だと思う。内部留保が相当たまっていてそれを使って成長のための基盤の作りもやりながら、加えてまだ賃上げの余裕もあると使って良いと思うがそれがないうちにその分を使って全部内部留保を賃上げに使いましたら、持続できない事になるのではないか。一時的なものになる。非雇用者も望むとこではないと思う。

中小企業対策
下請取引の適正化及び今後の資金需要対策について
堤県議
質疑でも指摘しましたが、13か月予算として社会資本等の整備に充てますが、技術者不足などが懸念されています。さらに下請けとの支払いを巡るトラブルなどや、12次下請けの倒産による被害など公共事業であってはならないことです。今回上程されている中小企業活性化条例でも、下請け取引の適正化などうたっていますが、このようなトラブルを回避するため、または適正に処理するためには各協会や元請け企業に対する厳しい指導が必要と考えますが、答弁を求めます。また今後の資金需要対策について、大分県信用保証協会の保証月報をみると、今年1月で県の制度資金保証では13,1631,063億円の貸し出し実績です。内活性化資金保証が多いのですが、小口零細企業補償も2,930件あります。零細企業は保証協会等による個別企業支援会議事業には相談が難しいと思われますが、その対策はどうするのでしょうか。また保証協会の代位弁済も全体で194193,200万円となっています。保証料等の収入の確保や県として出えん金等の支援も重要だと考えますが、どのような対策をとるのでしょうか、併せて答弁を求めます。
商工労働部長
下請取引の適正化について
下請け代金の支払い遅延防止など、取引の適正化については、公正取引委員会や中小企業庁において、下請代金支払遅延等防止方の違反行為の未然防止や、下請中小企業振興法尊守の指導などを行っている。下請け取引の受注のあっせんを行っている大分県産業創造機構では、平成20年度から「下請けかけこみ寺」事業を実施し、相談窓口を設け下請取引に関する苦情、紛争の処理などに取組んでいる。本年度は2月末までに、59件の相談を受け、それぞれに助言を行う他は無料の顧問弁護士による専門的なアドバイスを行っている。県としては、産業創造機構の取組を支援するとともに、毎年11月の下請取引適正化推進月間を中心に、国等と連携して、親事業者の調達担当者を対象とした講習会の開催やポスターの配布、新聞・雑誌への広告等を行っている。今後とも、下請け取引の適正化を図るため、国や関係機関と連携し、下請ガイドラインのより一層の普及などにより、親事業者と下請事業者間の望ましい取引関係の構築に努めてまいりたい。
資金需要対策について
経営改善等を要する中小企業への個別支援は、中小企業再生支援協議会や、昨年10月に信用保証協会内に設置されたサポートミーティングが、その役割を担っている。サポートミーティングは、保証付き融資を受けている小規模企業も支援対象。企業からの直接の相談にも対応している。これまでに、8社の支援を行っており、この中には小規模企業が5社含まれている。件では、平成15年度に13億円の損失補償基金を保証協会に設置し、保障に対するリスクを低減する事により、積極的な保障を促した。20年度以降、損失補償は行っていないが、代位弁済の減少傾向により、保証協会の経営基盤は安定しており、当面、特段の財政支援は考えていない。ちなみに、県制度資金は保証協会の保証債務残高の56%を占めている。保証協会による資金繰り支援に県のはたす役割は大きいものと考えています。今後も、保証料補助による中小企業の負担軽減や、ニーズに応じた資金の創設等により、保証の利用拡大を図っていきたい。

住宅リフォーム助成制度について
堤県議
地域経済の主役である中小企業対策は急務です。おおいた安心住まい改修支援事業では、今年2月末で60874万円の補助金で工事高は8564万円で約9.8倍の効果となっています。杵築市の住宅リフォーム助成制度では、浴室や洗面所、トイレなどの改修が多いと聞いています。これは地域の小さな工務店や左官などが受注できるものです。これでそこで働く人の雇用を確保でき、地域経済にとっても貢献するものです。景気対策というのであれば、住宅リフォーム助成制度を創設し、予算も大分元気創出基金を使って増やすべきではないでしょうか。答弁を求めます。
土木建築部長
リフォーム助成については、明確な目的を持って実施する事が必要であり、整備の急がれる高齢者が安心して暮らせる簡易耐震やバリアフリー改修、子育て世帯の住宅改修に対して支援を行っている。また、県産材の活用推進や、地元建築事業者の受注機会の拡大といった効果も発揮されているところである。制度の利用拡大に向けて、来年度より住宅要件を緩和し、持ち家以外の住宅についても対象とすることとしている。さらに、市町村が施工者を管内業者に限定している事が、申請に至らなかった理由のうち最も多いことから、管外業者による改修でも利用できるよう市町村に要請する。また、従来より働きかけを行ってきた結果、25年度より簡易耐震について、大分市が制度を導入する意向であり、現在市議会に予算案が上程され、審議されている所。今後とも、リフォーム相談会や事業の周知を図るとともに、引き続き制度を導入していない市への働きかけを行い、利用拡大につなげていく。
堤県議
これまでの質疑でも、県は経済効果はあると認めてきた。予算が1億あれば約10億円の効果を発揮します。おおいた元気創出基金の枠内に入る。地域経済を活性化させるため、それが目標指標となる。経済効果の高い住宅リフォーム助成制度を作るべきではないでしょうか。今後検討もすべきと考えますがいかがでしょうか。

土木建築部長
リフォーム助成制度の経済効果についてはその通りだが、今は高齢者が安心して暮らせる住まいやバリアフリー改修など明確な目的を持って実施する事が必要。

TPP問題について
堤県議
安倍首相は2月の日米首脳会談で発表した共同声明について「TPP交渉参加に際し、一方的にすべての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない」などと言って、交渉参加を加速する考えを示しました。しかし、この共同声明では日本がTPPに参加する場合、「全ての物品が交渉の対象にされる」「包括的に高い水準の協定を達成していく」ことを再確認し、「聖域」については何も述べてはいません。まさに黒を白といいくるめる偽りの発言です。これに対し、JA全中会長は「自民党の政権公約をすべてクリアしなければ交渉参加は反対」と表明しました。また先日JA大分中央会の役員の方と懇談した時も、「共同声明では聖域なき撤廃が前提ではないと言っているが、TPPとは聖域なき関税撤廃を前提にしたものであり、また重要品目の除外すら担保されておらず、安倍首相との認識とは明らかに異なっている」と明確に交渉参加に反対する立場を明らかにしました。JA全中の交渉参加断固反対決議に対し知事としての考えはどうでしょうか。答弁を求めます。また農林水産省は、関税撤廃で、日本のコメの自給率は1割以下、国民が食べるコメの9割以上が外国産米になり、その結果、食料自給率は現在の39%から13%に落ちるとしています。TPP参加と食料自給率の向上は、絶対に両立しません。主食を外国に頼るということでは食料主権は守れません。また、「農業は保護されすぎている」などと言いますが、OECD資料では、日本の農産物の関税率は11.7%でアメリカに次いで世界で二番目に低くなっているのが実態です。これ以上の関税撤廃等は、大分県の農林水産業にとって壊滅的な打撃となることは必至です。この立場にこそ立つべきと考えますが併せて答弁を求めます。
知事
TPPは、関税の撤廃や貿易の問題だけだなく、非関税部門の投資や知的財産など、21分野における包括的協定として交渉されている事から、幅広い業種、あるいは多くの団体が関係し、意見も様々であることは当然の事です。全国農業協同組合中央会の反対意見も日本の農業の将来を心配しての事だと思う。政府は耳を傾けて頂き日本のあるべき姿を思い描き、しっかりと判断してもらいたいと思っている。TPP交渉参加国は、16回目となる協議を、今まさにシンガポールで行っています。この交渉の枠組みは、参加国だけの問題でなく、将来、アジア太平洋地域の実質的な基本ルールになる可能性があります。我が国が逡巡している間に、枠組みが形成され、何も主張できないまま、受け入れざるを得ない状況になれば、日本経済にとって大きな不利益が懸念される事から、交渉参加に向け熟慮断行し、我が国に有利なルールとなるよう主張することが大事です。一方、農林水産業への影響については、何も策を講じず、関税を撤廃した場合を前提に農林水産省が試算したものと承知しています。こうした試算が現実の者とならないよう、国が国益を考えて交渉し、影響があるものについては、国民が希望を持てるよう、しっかりとした対策を早期に打ち出してもらわなければなりません。本県においても、持続的で足腰の強い農林水産業を構築していく事が重要です。このため、経営規模の拡大と低コスト農業の実現を図ると共に、拠点市場への安定・大量出荷体制による単価向上、付加価値の高めるブランド化や6次産業化の推進、更には、新規就業者や集落営農組織など、地域の中核となる経営体の確保・育成を進めてきた所です。引き続き、農林水産業に向けた構想改革に全力を挙げて取り組んで参ります。
堤県議
アジアの活力を取り込むと構造改革と答弁があったが、日本はアセアンとEPA協定を締結しており、これを含めて13カ国と締結しています。また日中韓とは、貿易問題で2003年より産学官研究がはじまり、2012年終了しています。これらでも十分取り込めます。TPP交渉参加国に日本を加えればGDP9割をアメリカと日本で占めることになります。アメリカの経済政策に従うようなものです。これでは決してアジアの活力など取り込めません。農業の構造改革と言いますが、JA大分中央会との懇談でも「構造改革できるのはほんの一部しかない。小規模の農家は限界がある」と言っています。競争相手は一戸当たりの耕作面積が日本の100倍のアメリカ、1500倍のオーストラリアと、「競争できる強い農業」などというのは、国土や歴史的な条件の違いを無視した暴論にすぎません。このような違いをカバーできる構造改善とは何なのでしょうか。答弁を求めます。
知事
そこの所をしっかり議論していかなければならない。関税で守らなければならないもの、国内対策で議論するもの、色んな事がある。今とにかく大変だと交渉に参加する事自体いけないと言っていると、どんな事が議論になっているか分からない。何を主張するかも分からない。ルールに対しての主張も出来ない。したがって対策も講じられない。国民はますます不安になってくる。そういう悪循環を断たなければならない。
堤県議
現在9カ国とカナダ・メキシコが交渉をしている。9カ国が合意したものはすべて受け入れるのが前提。将来合意されるものについては、受け入れなければならないこれも前提。交渉中止の拒否権は新たに参加した国からはできない。日本政府もTPP関係国との協議の結果の文書の中でも明記をされている。重要品目について、締結したとしても、10年間で段階的に撤廃していくと明記されている。大分県の農業を守るという立場からすれば、交渉参加すべきでない。TPP交渉参加の前提条件は、コメを含めて関税の撤廃を約束することが前提。実際、カナダは「チーズと家禽類の肉」の関税撤廃を表明しなかっただけで交渉参加を拒否されました。これはTPPの輪郭でも確認されていることであり、「交渉参加とTPP参加は別」などという「偽りの先送り」論でしかありません。この立場に立つことが重要と考えますが、答弁を求めます。
知事
後から参加した国が覆すというのは難しいという事かも知れません。だからこそ早い段階で交渉参加すべきだったという議論もあったが、後発国として入っていくので難しい面もあるかも知れないが、その事も含めて交渉参加していないために、何が決まっているか分からないというのが今の実情ではないかと思う。後から参加して難しい事もあるかも知れないが、そこをしっかりと国益を念頭において議論していく事が交渉になるのではないか。コメの関税についてどういうことになっていくかもこれからの大きな論点だと思う。関税を引き下げなければいけない。撤廃しなければいけない。それを前提に思い悩む事はない。
堤県議
米韓FTAでは、コメを除いてすべての関税が撤廃されています。コメは除外の代償として、消費の一定割合を輸入する量を増やすこと、再協議がいつでもできるという2条件が付けられ、除外と言っても永遠に守られるということではない。TPPについて知事として参加すべきでないと表明するべき。
知事
交渉に参加しないで我が国だけでやっていけないと思っている。参加していく事は大切な事だと思っている。
堤県議
TPPは、農業と食料だけでなく、暮らしと経済のあらゆる分野が交渉対象とされています。TPP協定交渉では、政府調達、金融、投資、環境、労働など24の作業部会が設けられています。「非関税障壁」の撤廃の名目で、破たんした「アメリカ型ルール」が押しつけられ、「国のかたち」そのものを大きく変えてしまう内容を持っています。 とくに、食の安全、医療、官公需・公共事業の発注、金融・保険、労働などで、国民の生活や安全を守るルールと監視体制、中小企業を支援する制度などが大きく崩される危険が大問題になっています。 だからこそ、全国で医師会や中小企業者団体、労働組合、消費者団体などが反対の立場をとっています。県としてもこの声にこたえ国に対し、交渉反対の立場を明確にすべきではないでしょうか。答弁を求めます。
知事
我が国は、既に13の国・地域と経済連携協定を締結していますが、これらの協定にも政府調達や食の安全・安心など、非関税障壁に関するルールが含まれています。我が国の国益にかない、受け入れ可能なルール作りは、自らが加わってこそ実現されるものです。TPPについても、一刻も早く交渉に参加してルール作りに乗り遅れない事が大切だと思います。また、先日の国会答弁で安倍総理は「国民皆保険制度は日本の医療制度の根幹であり、揺るがすことは絶対ない」と答えています。TPPは、11カ国を相手にした交渉である以上、一方的な主張のみが通るとは限りませんが、国民の安全・安心など、国として守るべきは、守り抜くのが当然だと思います。他方、総理からは「交渉に参加していないため参加国同士のやり取りの情報収集は難しい」との答弁もありました。まさに、情報が得られないため、国民に十分な説明が出来ない、必要な対策を示せない、という悪循環です。まずは交渉に参加し、情報を収集するとともに、必要な情報や対策を国民に示しながら、国益を主張すべきです。参加しないという事であれば一時的には楽な気がするがそれで日本の経済や大分の県やっていけるのかを考えるとやはり参加してしっかりと主張し対策を講じることが大事。

貿易立国の我が国においては、TPPに参加する事で、国民的利益を高めていくという視点が非常に大事です。TPPについては、交渉参加を表明してからは正念場である。政府は一体となって、我が国に有利なルールを勝ち取るべく、主導権を握れるよう戦略を練るとともに、影響が生じるのであれば、具体的な対策を早急に打ち出してもらいたいと思っています。
堤県議
日本に求められているのは、アメリカ一辺倒から抜け出し、アジアを含む各国と経済主権を尊重した互恵・平等の経済関係を発展させることです。貿易や経済関係を拡大すること自体を悪いことだなどとは考えていません。貿易の拡大の中でも、農業、食料、環境、労働など市場だけに任せておいては成り立たない分野があります。食料主権をはじめ経済主権を尊重し、お互いの国の国民の暮らしと権利を守るルールを尊重しながら、貿易や経済関係を発展させることこそ、21世紀のまともな経済発展の方向であると考えています。日本は、こうした互恵・平等の経済関係を発展させる貿易・投資のルールづくりこそ、アジアのなかで進めていくべきではないでしょうか。この立場を強く求めるものです。

憲法9条に認識について
安倍首相は、選挙後改めて国防軍創設を視野に入れ集団的自衛権行使のため、憲法9条の改憲を企てています。その改定の狙いは、日本を「海外で戦争をする国」につくりかえるというものであり、その時の「戦争」とは、具体的にいえば、米国の単独行動主義にもとづく先制攻撃の戦争への参戦にほかなりません。改憲勢力は、憲法のなかに「国際貢献」を書き込めということを主張しますが、憲法9条の改定とは、世界平和への貢献どころか、日本を米国とともに 無法な戦争にのりだす国に転落させ、日本がアジアと世界にとって重大な軍事的緊張と危険をつくりだす根源の国となることを意味します。それが世界の大きな 流れに逆らうものであることは、あまりにも明らかであります。またその前提として改憲しやすいように憲法改正発議の96条の規定を変えようとしています。知事として憲法9条についてどのように考えているのでしょうか。答弁を求めます。
知事
日本国憲法は、先の大戦での悲惨な体験を踏まえた、戦争に対する深い反省と不戦の決意のもと制定されたものであり、第9条は、憲法前文で表明された平和主義の原理を具体的に規定したものであると考えています。我が国が自由で民主的な平和国家として発展して来たのは、平和、自由、民主主義を基本とする日本国憲法の理念のもとで、国民一人一人が恒久的平和を念頭し、優れた英知とたゆみない努力によって、戦後70周年近くに渡り進めてきた国づくりや国際平和への取り組みの結果である、と考えています。平和は人類共通の願いであり、わが国の憲法の理念が、世界なかんずくアジア諸国からの信頼の基盤と成っている事も忘れては成りません。こうした中、日本の周辺では、北朝鮮の人工衛星と称するミサイルの発射や核実験の実施、竹島・尖閣諸島をめぐる緊張など、緊迫した情勢が続いており、国家と国民をいかに守るか、そのあり方が問われています。また、広く世界に目を向けると、冷戦終結後、21世紀に入り、民族・宗教に起因する紛争やテロ事件の頻発、その背景にある貧困や失業、難民支援など、世界の平和と安定のため、国連の場などで国際社会が足並みをそろえ、取り組まなければならない課題が出てきました。グローバル化する国際社会の中で、日本はその一員として、国連平和維持活動への協力等を通じて、平和と安定に貢献していかなければなりません。このように、我が国を取り巻く情勢は、憲法制定字と大きく変わってきています。今の憲法第9条で対応できるか、対応できなくなってい中、どうあるべきか、そこの所は、しっかり議論されるべきだと考えています。国家の基本に関わる事ですので、幅広く国民の間で議論する事が、大変大事な事であり、決してち拙速に事を運んではいけないと思っています。私の思いとしては、現行憲法のもとで、育み、醸成された国民の恒久平和への願いは最大限尊重され、擁護されるべきものと考えています。又そのためにも憲法制定時から大きく変わりつつある国際情勢に真摯に向き合ってしっかりと対応していかなければならない。
堤県議
憲法9条は世界に誇れる宝だ。9条があるからこそ自衛隊が外に行き殺したり殺されたりがなかった。非常に大きな経済発展も遂げてきた。しっかりと守っていかなければいけない。96条改憲は国会の発議要件を3分の2以上から過半数に変えて、憲法改定のハードルを低くするもの。用意周到に準備をしようとしています。知事の恒久平和を守るという立場を鮮明にして、憲法9条を守っていきたい。

日出生台米軍演習及びオスプレイの国内訓練問題について
堤県議
日出生台米軍演習について
米軍は来年の2月から3月上旬にかけて10回目の演習を実施すると発表されています。しかし昨年8月には陸上自衛隊と在沖縄海兵隊による5回目の合同演習が実施されています。これまでの演習でも山火事や白リン弾の使用、県道走行など無法な訓練拡大等が見受けられます。県として昨年10月に「日出生台演習場の使用等に関する協定」の覚書を九州防衛局や関係自治体と締結しています。今後演習の縮小廃止はどのように進めていく予定なのでしょうか。答弁を求めます。
オスプレイ国内訓練について
在日米軍は、228日日本政府に対し36日から8日にオスプレイ3機を岩国基地に移し、九州から急きょ四国等のオレンジルートに変更し、訓練を実施すると伝え訓練を実施しました。大分県には防衛省から「岩国飛行場へのオスプレイの飛行情報について」及び「飛来経路変更」のFAXが来ただけで、その規模も日程も夜間訓練の内容やなぜオレンジルートに変わったのかなど、全く知らされていない状況でした。これは県民の安心と安全にとっての大きな脅威であると同時に、自治体に対して情報開示をしないという国の責任も追及しなければなりません。今後九州でも訓練が行われる可能性もあります。今回の低空飛行訓練に対し、県民の安全にとって「脅威である」という認識はあるのか。また国に対し情報をどのように開示させていくという考えなのでしょうか。答弁を求めます。また、私たちが調査したところ、イエロールートと呼ばれる低空飛行訓練ルートでは大分市、豊後大野市、由布市、九重町、玖珠町、中津市、日田市、佐伯市といった自治体の上を超低空飛行で訓練する計画となっています。その上攻撃ポイントに駅やインターチェンジ、ダムといった施設を想定しており、傍若無人としかいいようがありません。普天間飛行場に配備されたオスプレイは、この超低空飛行を繰り返し、市街地や学校の上でヘリモードに切り替え着陸を強行しています。日米両政府が交わした安全確保策などなかったかの如くの振る舞いです。県としてオスプレイの配備中止とイエロールートや訓練計画の公開、自治体や住民の合意なくして訓練はさせないという姿勢を国に明確に示すべきと考えますが、併せて答弁を求めます。
生活環境部長
日出生台における米軍演習について
米軍の実弾射撃訓練は、沖縄の基地負担軽減のため「SACO合意」に基づき、国の責任において実施されるものである。県としては、県民の安全安心の確保を最優先課題として、全国で唯一、国と協定を結び、訓練日数及び人員数、砲門数等について歯止めをかけるとともに、将来に渡る縮小・廃止を求めている。本年度はこの協定の庚申の年で、これに併せ、地元住民の意見等も開き、滞在期間の短縮や日曜・祝日の砲射撃開始時間の繰り下げ、投機の夜間砲射撃時間を午後8時までとすること等を盛り込んだ「覚書」を新たに取り交わした。今後とも、国に対して米軍への協定や覚書の周知徹底を要請し、実効性の確保を図っていくとともに、引き続き訓練の縮小・廃止を求めていく。
オスプレイについて
県としては、県民の安全安心確保の観点から、これまでも国に対して具体的な訓練計画の事前説明と安全確保に関する日米合意事項の遵守を求めてきた。本土での飛行訓練については、未だ県民の間に懸念がある事は認識しとり、その払しょくのためには、情報開示が重要であると考えている。このため、34日に訓練実施の連絡を受け、翌5日、直ちに九州防衛局長宛てに、安全確保に万全を期すことと共に訓練情報の開示等を強く要請した。また36日には、本県を含む関係県の意見を踏まえて、全国知事会から、内閣官房長官、外務無大臣及び防衛大臣あて、情報の開示等を求める緊急要請を行った。オスプレイの配備・運用は、日米安保体制の枠組みの中で、日米両政府の合意に基づき判断されたもの。県としては、県民の安全・安心の確保を最優先課題として、引き続き国に対して、日米合意事項の順守や訓練計画の開示等を求めていく。
堤県議
なぜ協定の改正ではなく、覚書にしたのか。九州防衛局から米軍への連絡はどの様にしたのか、確認したのか。オスプレイは県民の安全にとって脅威と認識しているのか。
生活環境部長
大まかな事、基本的な事を書こうという事で覚書に持って行った。九州防衛局長も同席をしており、責任を持って伝えるという事で是非伝えて頂きたいと信頼をした。オスプレイの脅威については、脅威というよりは事故に対しての懸念が払拭されていないと感じている。これからも事ある毎に申し入れていきたい。
堤県議
九州防衛局からどういう形で伝わっているのか確認すべきではないか。航空法に基づいて飛行ルートは国から情報も来ていないのか
生活環境部長
九州防衛局長も同席しているので、伝わっていると思っている。飛行ルートについては我々の感知する所でもなく連絡もなかった。
堤県議
県民の安全のためには、米軍、国に対して確認すべき。飛行ルートは県として事前につかむべき。

いじめ対策について
堤県議
「いじめ自殺」が各地でおき、多くの人々が心を痛めています。大分県下でも「いじめ」の把握件数2,394件であり、子どもの立場に立った解決策が求められます。今日の「いじめ」は人間関係を利用しながら相手に恥辱や恐怖を与え、思い通りに支配しようとするもので、ときに子どもを死ぬまでおいつめる事件に発展し、ネットによる中傷、傷害、性暴力、恐喝などの犯罪ともつながっています。多くの「いじめ」被害者は、その後の人生を変えてしまうような心の傷を受け、大人になっても恐怖で社会に出られないなど後遺症に苦しんでいます。「いじめ」はいかなる形をとろうとも人権侵害であり、暴力だとの認識に立つべきと考えますが、いかがでしょうか。まずその認識についての答弁を求めます。
教育委員長
いじめにより児童生徒が自ら命を絶つ痛ましい事件が全国で発生している事は、極めて残念なことであり、県教育委員会として深刻に受け止めている。いじめの中には、児童生徒の生命または身体の安全が脅かされるような暴力や恐喝など、犯罪として取り扱われるべき重篤な事案もある。こうした事案はもとより、全てのいじめは、人格の尊厳を傷つける人として決して許されない行為であると認識している。
教育長
いじめは、児童生徒に屈辱感、孤立感、恐怖感など心に深い傷を与え、時に死を考えさせるほどに被害者を追い詰めることがある。このように、いじめは児童生徒の心身の健全な発達に重大な影響を及ぼし、不登校などを引き起こす背景ともなり得る深刻な問題である。いじめは、人として絶対に許されない人権侵害行為であると認識している。
堤県議
以下学校及び教育行政が行うべきことについて具体的に聞きます。「いじめ」の相談があったとき、忙しいから後まわしにするなどして重大な結果となるケースがあとを絶ちません。学校教育においてどんな「大切」な仕事があろうと、子どもの命が一番大切だという、子どもの安全への深い思いを確立することが必要です。この間、学校事故などの裁判をつうじて「学校は子どもを預かる以上、子どもの安全に最大限の配慮を払う必要がある」という学校における「安全配慮義務」が定着しつつあります。いじめは、「安全配慮義務」違反に当たることを明確にし、学校と教育行政の基本原則とすべきと考えますが、答弁を求めます。そして、教職員が「いじめ」に向かい合う条件を作ることが重要だと考えます。そのためにも、以下のような具体的な改善が必要と考えます。
@ 子ども一人一人を丁寧に見られる少人数学級が重要です。県として30人学級の対象学年を拡大すべきと考えます。A「いじめ」解決に必要な教職員の連帯や協力に悪影響を与える教職員評価システムや、主幹教諭など中間管理職の拡大など中止、見直しすべきと考えます。
B「いじめ解消率」や「学力の全国平均以上の割合」の数値目標をやめること。このことが、教育行政の上意下達の風潮と相まって、「いじめ隠し」や子どもや学校間の競争激化によって、いじめの発生の土壌となる危険性があります。また解消率等を目標としても、数字の操作や隠ぺいが起きる可能性もある数値目標設定はやめることだと考えます。
C 専門的な「いじめ防止センター」を県として設立したどうでしょうか。
以上についての答弁を求めます。
教育長
学校は、児童生徒が安全・安心な学校生活を送れるようにすべき責務があり、いじめの被害から子供を守らなければならない。いじめの相談には命は何より大切であり、県教育委員会では、いじめに関するそうだ何位迅速かつ適切に対応できるよう、各学校にいじめ対策委員会を設置し、校長を中心に組織的に対応するよう指導するとともに、重篤な事案やいじめ相談ダイヤルで対応が必要と判断した案件については、随時報告を求めている。本県では、国に先変えて小学校12学年、中学校1学年で30人学級編成を実施するとともに、国に対しては、少人数学級の拡大を要望している。今後の少人数学級の推進に関して、国は全国学力・学習状況調査等を活用し十分な効果検証を行いつつ、教職員の人事管理を含めた教職員定数のあり方全般について検討するとしており、今後の国の動向を注視していきたい。教職員評価システムは、目標管理や人事評価を通じて、困難な課題に挑戦する教職員の育成や、学校の組織的課題解決力の向上を図る制度である。主幹教諭は、学校が抱える複雑・多様化する課題に対応するため、学校運営を行う校長と、教育を実践する教諭とのパイプ役を担うなど、学校組織を円滑に機能させるかなめの職である。これらの制度や食も活用し、いじめや不登校等の課題に対して組織的に取組む「芯の通った学校組織」を構築していく。いじめ解消率の数値目標について 教育の目的を実現していく上で、教育委員会や学校が、目標を持って取り組みを進める事は重要である。目標は、より明確で具体的な程、構成員の共通理解が進み、組織を挙げて取り組むことが可能となる。また、達成状況を検証する客観的な評価指標を設定する事で、課題を明らかにして取組を改善し、また、成果を確認する事が出来る。このようなことから、数値目標を定めて取り組む事は必要であると考えている。いじめや学力に関する目標指標についても、競争や数字そのものが目的ではない。県・市町村教育委員会と学校が共通の目標のもとで、課題を明らかにしながら持続的・発展的に取組みを進める事で、学力・体力の向上や豊かな心の育成といった教育本来の目的を実現するために設けているものである。いじめの防止については、県教育委員会では重篤ないじめ事案の解決支援を行うため福祉機関などで臨床経験を持つ専門家をメンバーとするいじめ解決支援チームを設置する事にしている。
堤県議
国は35人学級の拡大を見送ったが、いじめとは、人権侵害であり暴力という認識に立てば、県独自でも30人学級の拡大は急務だと考えます。予算の問題としてとらえてはならないのではないでしょうか、答弁を求めます。新大分県総合教育計画では、いじめの解消率や難関大学への進学力アップや学力の数値目標化など設定していますが、これでは子どもたちや学校間で競争や格差が生じてしまいます。競わせるような目標設定は更なるいじめの温床につながるのではないでしょうか。答弁を求めます。
教育長
30人学級については、全国に先駆けて小学1年生のギャップ、中学1年にあがった所の不登校の増加等に着目した県独自の施策であります。国全体の少人数学級実現の歩みも睨みながら県の施策もあります。国で行っている様々な加配を活用しながら本県の30人学級の実態がある。30人学級の実現によって様々な課題に有効な効果があるかなと考えられます。学力の面、生徒指導の面、いじめその他あるとは思うが、全体としての少人数学級の実現はかなり大きな予算が伴うものです。国にも少人数学級の実現を要望している。様々な課題に現状としては少人数教育、○○   ティーチングそういった対応で現在解決しているところです。30人学級を目指していくという姿勢はその通りですが、当面は30人学級を実現すると課題で今動かなければならないと考えている。目標設定との関係では、あらゆる組織、目標もった組織には当然目標を掲げなければならない。数値目標はその目標を明確にしてその目標に取組む職員関係人に一致するという性格を持っている。目標が隠ぺいを起こすとか、数字の操作を行うという事は、数値目標設定それ自体というよりもそれに向かって動いている組織の問題ではないかと思う。その課題が現場、子どもにとって重要な課題であるかと、それにむかってどれだけ切実に求められているのかという事をしっかり認識すれば、数字のごまかしや隠ぺいはないと思う。

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3月28日 討論
平成25年度大分県一般会計予算
平成25年度当初予算額は、58172600万円となっています。この予算は知事が表明した「県民が夢と希望を持ち、心豊かに暮らせる大分県づくり」になっているでしょうか。まず歳入全般では、自主財源の個人県民税収入は昨年度より、51979万円の増となっていますが、これは税制改正によって年少扶養控除廃止、特定扶養控除縮小で23千万円の県民負担が増えているからです。さらに滞納額も大きく県民の暮らしが疲弊しているというのが実態です。また国が、地方公務員の給与削減の名目で地方交付税や義務教育費国庫負担金等を60億も削減することなど許せることではありません。実施させないよう国に強く求めるべきであります。自主財源を増やすためには投資的経費も必要ですが、事業所の9割を超える中小企業の景気回復や個人所得の伸びによって家計消費を温めていく事が重要であります。しかし予算案では、相変わらずの大企業誘致や工業団地造成事業など補助金等が目につきます。このように県民の暮らしが大変になっている時、さらなる消費税の増税など許せるものではありません。日本共産党は、庶民増税ではなく、資本金10億円以上の大企業にため込まれている260兆円もの内部留保にメスを入れ、社会に還元させるべきだと考えます。そして大企業と富裕層への減税を元に戻し、消費税増税中止、地方交付税や国庫補助金など、地方自治体財政の確保と増額をするよう、県としても国に求めるべきと考えます。
一方歳出予算はどうでしょうか。「安心」の県政では、「互いに助け合い、支え合う安心・安全の大分県」を標榜しています。東日本大震災被災者支援等では、現地での教訓として、測量士など技術者不足、生コンクリートやアスファルトなど資材不足があげられました。この教訓を九州北部豪雨対策に活かした対策をとることや病児・病後児保育への施設整備など推進する予算もあります。しかしその一方で「ひとり親家庭への医療費の現物給付」や「子ども医療費の助成」策ではいずれも自己負担を求めています。子ども医療費については、各自治体は厳しい財政状況でも独自助成を行い、中学卒業まで入通院が無料となっている進んだ自治体もあります。確かに国が責任を持って全国一本で助成するのが筋でありますが、それが実施されていない現状では、将来大分県を担う子供たちの健康確保のため、県として助成年齢の拡大と無料化は急務であります。またひとり親家庭への現物給付では、親が受給する場合で500円の負担を求めています。所得の低い世帯が多いひとり親家庭に新たな負担を課すのは弱い者いじめのなにものでもありません。子ども医療費と併せて無料化してこそ真の子育て満足度日本一と言えるのではないでしょうか。県内の社会保障制度を巡る状況はどうでしょうか。介護保険制度や国民健康保険、後期高齢者医療制度については、「社会保障・税の一体改革」のもと、改悪のオンパレードとなっています。国民健康保険では広域化を推進し、さらなる保険料の値上げに道を開こうとしています。国民健康保険税の滞納世帯は加入世帯比18%の33,679世帯となっており、内保険証を交付されていない資格証明書発行世帯は、4,267世帯にも上っています。さらに後期高齢者医療制度の短期保険証発行者も470人に上っています。これ以上の負担増はもう耐えきれない水準まで来ています。県として予算を増やし、負担増を抑えることこそ重要と考えます。さらに県内でも、長期不況、派遣切り等によって生活基盤を失ってしまい生活保護を受給する世帯が増えています。国は生活保護費全体で今年度だけで670億円もの削減を実施しようとしています。この削減によって大分県では保護受給者の96%が引き下げとなります。今でも最低生活費できりきりで生活しているのに、これ以上の引き下げは命にもかかわるものであり、県として削減反対の立場に立つべきであります。そして財政調整基金の残高を積み上げることに腐心するのではなく、値上げ抑制のため思い切って繰り入れをおこない、社会保障や暮らし応援の予算へと転換すべきであります。
県民の安全では、来年2月に日出生台で米海兵隊の演習が実施される予定ですが、その内容も規模も拡大の一途をたどっています。使用協定や覚書については、九州防衛局から「覚書等については今後訓練について米軍と調整する中で伝えていく」という回答のみであり、必ず伝わるということにはなっていません。またオスプレイについても県として「関知する事は出来ない」という弱腰の態度では、県民の安全を守ることはできないのではないでしょうか。米軍演習中止とオスプレイの配備・訓練を中止するよう国に求めるべきです。
また大分県地域防災計画では、津波対策等記載されていますが、未だに原発事故対策が取られていません。伊方原発よりより45kmの大分県として放射能のブルーム、海水汚染など甚大な被害が出る危険性がある以上、国の動向を見るのではなく独自にでも策定すべきであります。続いて「活力」では「いきいきと暮らし働くことのできる活力ある大分県」を標榜しています。農業等の分野では、新規参入者の確保等のため産地自らの取り組を応援することなど見られますが、農業産出額は2011年では九州7県中5位で1,331億円となっています。農業の振興には、米の再生産を保障する価格保障、所得補償制度を構築させるとともに、これ以上の輸入野放しを許さないという県としての姿勢が県内農業の再生にとって不可欠です。しかし、米の消費拡大についてもH27度で299億円から245億円の減少目標となっているのが実態です。またH25年度は20社の企業参入が見込まれるとしていますが、4社が撤退しているのが現実です。新規参入企業の支援も必要でしょうが、企業参入や大規模営農に特化した農政では、多様な生産活動を保証することができません。県内農業を活性化させ、家族経営への支援などを通じてこそ、農業産出額の増加、食料自給率の向上が達成されるのではないでしょうか。それに真っ向から反するのがTPPです。TPPに参加すれば、政府試算でも我が国の食糧自給率はカロリーベースで40%から27%に激減し、県の試算でも県内農林水産業は約332億円も減少することになります。しかも、政府、県の試算には関連産業への影響、非関税障壁撤廃による影響は全く考慮されていません。TPPに参加すれば、地域経済は壊滅的打撃を受けることは間違いありません。TPPへの参加に対し明確に反対の立場を表明し、日本農業及び県内農林水産業を守るべきであります。そして商工業の底力発揮では、大分県経済が力強さを取り戻せるかどうかは、中小企業の活性化がカギと位置付け「中小企業活性化条例」の制定や金融円滑化法切れの対応のため、中小企業向けの借換資金の創設など実施されます。活性化条例の制定と活用で県内中小企業が本当に元気になれることを望むものです。しかし企業立地促進事業では、日田キャノンであろうと推定される事務機器製造企業にH24年度より5年間で15億円の補助金を出す予算となっています。大企業誘致のための補助金ばらまきや、さらに来るあてのない工業団地の造成等に20億円もの巨費を投じようとしています。誘致をしても県内では非正規雇用の拡大、ワーキングプアの拡大になってしまっているのが実態ではありませんか。全国的にも大企業は業績の悪化によって工場閉鎖を行い、社員等のリストラを進めています。結局莫大な補助金をつぎ込んで誘致をしたが、撤退してしまい、地域経済が混乱し、さらなる疲弊が進行してしまうというのが実態であります。大企業は補助金がなくても地域の状況によって立地してきます。もう立地補助金はやめるべきです。そして今後若者の雇用を守るためにも立地協定書に正規雇用と大量解雇禁止条項を締結すべきであります。「発展」では、人を育て、社会資本を整え、発展する大分県を標榜しています。教育問題では、学力向上対策として、九州トップレベルの学力を目指し、習熟度別少人数指導を実施するようにしています。県は高校のような能力別クラス編成ではないと説明しますが、小・中学校では全国平均以上の生徒の割合を70%に引き上げる数値目標を設置し、競い合わせようとしています。その中で習熟度別に分ければ、「自分はできない子」など心に大きな傷を受ける危険性もあります。その上目標達成年度まで設定し、点数等の達成を競わせるやり方は、子ども間、学校間、地域間の過激な点数競争につながりかねません。学力向上対策としては、30人学級の拡大と教員の増員・正規化によって、一人一人の子どもに寄り添って指導ができる環境づくりこそ必要であります。そして「いじめ対策」でも、一般質問で指摘したように「いじめは人権侵害であり、暴力である」という認識の上にたち、「いじめ」解決に必要な教職員の連帯や協力に悪影響を与える教職員評価システムや、主幹教諭など中間管理職の拡大など中止、見直しをするが必要です。また社会資本の整備では、大企業の輸送ルート確保の為の大型港湾の整備や新日鐵住金など進出大企業しか利用できない、護岸の補修など実施しています。さらに豊予海峡ルート推進のために未だに協議会などにしがみついています。これらはいずれもムダな大型事業の推進であり中止すべきです。その予算を県内中小企業の仕事拡大や県産材の活用、地域経済への経済効果も約10倍あり、CO2削減にも大きな効果がある「おおいた安心住まい改修支援事業」を拡大して、住宅リフォーム助成制度の創設や「身近な道改善事業」の拡大など、地域に密着した公共工事を増やすための予算へと転換すべきであります。また、大分県立美術館建設については、入札等も含めて情報公開をしっかりやって、ガラス張りで公正に行うことが大切です。そして建設工事について県内中小企業への仕事発注や、工事を巡る不払いや下請けいじめがないようにしっかりと元請け等建設業者を指導することを強く求めるものです。以上のように、日本共産党として大分県の基幹産業である農林水産業や、雇用の受け皿及び経済活動の活性化の底上げとして、建設業やサービス業、卸小売業など県内中小企業者への支援を重点とした予算を組むこと。あわせて、増税や社会保障切り捨て、医療費の負担増に喘ぐ住民の暮らし福祉応援の予算にすることを強く求め、反対討論とします。

25年度大分県流通業務団地造成事業特別会計予算
予算では、減債基金に約94700万円積みまし、公債費として6,152万円計上しています平成13年度分譲開始から現在までの分譲率は65.3%で昨年とほとんど変わらない状況です。また平成25年度末の起債残高見込みも92億円で、当初の販売計画通りに行っていないのが現状です。売れなければ更なる県民負担につながってしまいます。県内にはたくさんの塩漬け土地があります。これらも含めて今後造成費の利払いなど販売が進まなければさらに大きな県民負担となります。このような事業の予算には反対をします。

25年度大分県臨海工業地帯建設事業特別会計予算
の事業は、まさに大企業日産への呼び込み方式の事業が破綻した事業です。ようやく日産の土地にメガソーラー発電事事業がはじまりますが、当初計画とは全く違う事業です。ずさんな計画のもと造成し、維持費に640万円、公債費に5200万円も県民の税金を投入するものには反対します。


25年度大分県港湾施設整備事業特別会計予算
これは港湾管理と重要港湾などの施設建設を目的とし、45000万円もの予算計上している事業です。一部大企業のための事業に県民の税金投入には反対をします。

25年度大分県工業用水道事業会計予算及び「工業用水道事業会計資本剰余金の処分について
この事業会計は、低廉で豊富な水を臨海工業地帯の大企業群に供給する事業会計です。大企業群に供給している水の料金は、一般家庭の水道代の14分の1から24分の1となっています。まさに大企業優遇の水道行政であります。また、新日鐵住金、鶴崎共同動力、新日本石油などは、工業用として安く仕入れた水を船舶などへ飲料水として、1182円から197円で転売し利益を得ていることは、県民にとって納得できるものではありません。また今回の予算でも、1億円を繰り出し一般会計予算の企業立地促進等基金に積み立てるという内容となっています。商工労働企業委員長の報告意見にもあったように、H23年度末で電気事業・工業用水事業を併せれば215億円以上の利益剰余金等の内部留保があります。今後の建設改良や各引当金があるにしても過大です。これの一定額を一般財源へ繰り出し、社会保障等の充実や負担減に使えるよう求め反対とします。

大分県税条例等の一部改正について
今回の県税条例の改正案は、地方税法の改正によって、地方消費税の税率を引き上げるものです。消費税増税法は、もともと公約違反の法案であり、税率を国・地方併せて20144月に8%、201510月に10%という大増税であり、国民には20兆円もの負担増が押しつけられます。これでは、消費を冷え込ませ、日本経済に重大な影響をもたらすことは明らかです。この消費税増税は「社会保障と税の一体改革」のもとで議論されてきましたが、社会保障のためどころか、適正化、効率化、重点化の名の下に、介護保険料、国民健康保険税の一層の引上げ、介護サービスの新たな抑制、混合診療解禁の検討など、国民にとっては、さらなる負担増の押し付けと社会保障の切捨てが目的であることが明白であります。また消費税が最悪の欠陥税制だということも明らかです。所得の低い人ほど負担の重い逆進性があること、中小企業など、税率を価格に転嫁できず身銭を切らざるを得ない実態があることなど、庶民にとっては負担しきれないような消費税の増税には反対します。

地方自治体の主体性の保証を求める意見書について(見解)
今回の意見書では、「地方自治体は、これまで独自の賃金カットを行い、さらに行財政改革で定数削減を行ってきた」とありますが、この事はこれまでも、質疑や討論で明らかにしたように、県職員の給与削減は、平成21年度からの累計で479400万円もの減額となっています。その上人員削減も行ってきました。これでは職員の労働強化が進み、その結果住民に十分な行政サービスを提供できなくなってしまいます。デフレからの脱却を図るという景気対策にも逆行すると指摘してきました。このやり方を「努力」として肯定することは問題があると考えます。しかし今回の意見書にはこのような問題点があるとしても、国による地方公務員給与の削減を前提とした地方交付税の一律削減は、医療、介護、保育、教育などあらゆる分野で住民生活を支え、被災地でも懸命に奮闘する地方公務員の生計費を削る方向に仕向けるやり方であり、許せるものではありません。国による地方交付税削減の中止を求め賛成討論とします。

                             
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日本共産党大分県議団
2013年3月13日一般質問