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第1回臨時会(5月)第4号報告に対する質疑

 2015年第1回臨時会で、5月15日、提議員が第4号報告に対する質問に立ちました。
 質疑の内容は以下のとおりです。(県議会HP議事録より)

○議長

◆質問者

◎答弁者









○田中利明議長 以上で提出者の説明は終わりました。

 これより質疑に入ります。

 発言の通告がありますので、これを許します。堤栄三君。

  〔堤議員登壇〕

◆堤栄三議員 日本共産党の堤でございます。

 まず、第四号報告大分県税条例等の一部改正についての質疑を行います。

 今回の条例改正は、政府による二〇一五年度税制改正大綱に基づくものです。

 税制改正による法人実効税率等の減税額は、今後、国全体で一兆六千億円になると見積もられています。この代替財源には、欠損金の繰越控除限度の見直しや受取配当等の益金不参入の見直し、法人事業税の外形標準課税の拡大等が充てられます。

 特に、外形標準課税の拡大では、付加価値割と資本割を増税し、所得割を減税します。これは、「赤字法人には増税、黒字法人には減税」という構図であり、企業間の格差がますます拡大されてしまいます。

 また、連結納税や研究開発減税などの租税特別措置による実質負担率を計算しますと、資本金十億円以上の大企業では、大きい企業ほど税負担率が下がっていきます。連結法人を含む大企業全体の負担率は一三・九%で、中小企業の六割程度しか負担していない計算となり、まさに大企業優遇の減税策であります。

 もうかっている大企業には減税をし、赤字にあえぐ中小企業には増税するというやり方は本末転倒であり、このような税制改正については直ちに是正すべきと考えますけれども、答弁を求めます。

 以下、対面にて行います。

  〔堤議員、対面演壇横の待機席へ移動〕

○田中利明議長 ただいまの堤栄三君の質疑に対する答弁を求めます。島田総務部長。

  〔島田総務部長登壇〕

◎島田勝則総務部長 堤議員から、平成二十七年度の税制改正について、ご質問をいただきました。

 今回の改正の中心となる法人税改革は、より広く負担を分かち合い、稼ぐ力のある企業等の税負担を軽減することにより、成長志向型の構造に変えていくものであり、企業の積極的な投資や継続的な賃上げを後押しするものと理解しております。

 今回、法人実効税率が引き下げられますが、その代替財源は、欠損金繰越控除制度、受取配当等の益金不参入制度や租税特別措置の見直しといった大法人を中心に適用されるものであります。これは、中小の法人に配慮したものとなっております。

 また、外形標準課税が拡大されますが、これは企業がその収益にかかわらず、行政サービスの恩恵を受けていることから、これに応じて負担をするという応益性の観点から行われるものであります。

 あわせて、景気の変動の影響を受けやすい所得割を縮小し、外形標準課税の割合を拡大することで、税収の安定化にも寄与することとなります。

 さらに、拡大に際しては、個々の法人の負担の変動に配慮し、事業規模が一定以下の法人に対しては、負担増を軽減する措置等も講じられているところであります。

 以上でございます。

○田中利明議長 堤栄三君。

◆堤栄三議員 今の部長の答弁では、国際競争力、賃上げを後押しするというような話なんですけれども、法人税率というのは、九七年度までは三七・五%あったわけです。これが二〇一一年度では二五・五%に下がってきているわけです。さらに、さまざまな優遇税制というのがございますので、そういうのがさまざまこれまでずっと実施をされてきましたけれども、減税しても実質的な賃上げにはつながっていないというのが現状だと私は思います。

 労働者の賃金は、九七年をピークに下降傾向にあります。民間サラリーマンの平均年収は、九七年には四百六十七万円であったのが、二〇一二年は四百八万円、十五年間で六十万円近くも減っているわけです。この結果、消費が伸びずに、デフレ不況が深刻化をしております。法人税を減税すれば、大企業の税引き利益というのはふえるんですけれども、それが賃上げには使われないで、内部留保をふやすだけになっているというのがこの間の実態だというふうに思います。

 一部大企業の国際競争力強化のためにも、また、賃上げにもつながっていない法人税の減税は、直ちに私は中止をすべきだというふうに考えるんですけれども、再度、部長の答弁を求めます。

○田中利明議長 島田総務部長。

◎島田勝則総務部長 今回の税制改正の一番大きなテーマが法人実効税率の引き下げだったわけでありますが、経済のグローバル化が進む中で、我が国の企業が海外に移転してしまうという実態が現にございます。そういった中で、国際的にも高い水準にある法人実効税率をいかに引き下げるかということがテーマでありました。そういった観点から、今回の税制改正が行われたところであります。

 ご指摘のように、賃金の支払い総額、全体としてはふえる傾向にありますけれども、物価の上昇には追いついていないというような最近の統計もございました。引き続き、企業の業績がしっかりと労働者の賃金向上につながるような取り組みが必要かとは思いますけれども、やはり今回の税制改正については、我が国全体として企業の経済活動、事業の活動の環境を整備するという観点から必要だったものというふうに理解をしております。

 以上でございます。

○田中利明議長 堤栄三君。

◆堤栄三議員 法人の実効税率というのは、この十数年間、ずっと下がってきているわけです。先ほども言いましたとおり、実質的に優遇税制というのは研究開発税制だとか、連結納税だとかいろいろあるわけです。そういうものを活用して大法人というのは、実質的な負担率というのは非常に下がってきている、それを今度は税率そのものを下げて、ますます減税をしようというのが今回の狙いでもあります。いろんな中小企業も含めて、税制を変えて、消費税も含めて増税をしてその代替財源として充てていくという流れがあると思います。

 先ほども言いましたけれども、実質賃金というのは、二十二カ月間、連続マイナスというのはご存じですよね。なかなかそれが、結局、額面は若干上がったとしても、しかし、実質的には下がってきているというのが、本来言えば、それは当然生活が苦しいわけです。実質的には下がっているわけですから。だから、そういう点では、法人税の減税がこの間、実質賃金に回ってこなかったというのは現実だというふうに思いますので、私はこれは是正をすべきだというふうに思います。

 あわせて、大分県内の外形標準課税の対象の企業というのは千二百五十七社というふうに聞いておりますけれども、今回の法人事業税率の改定に伴って、今後の付加価値割、資本割及び所得割の税収はそれぞれどのようになるのか、答弁を求めます。

○田中利明議長 島田総務部長。

◎島田勝則総務部長 今回の改正による今後の税収の見通しでありますけれども、制度全体として税収中立ということで設定をされております。本県の改正による影響を試算した場合にも、付加価値割、資本割は増収、所得割は減収となりまして、増収額と減収額はほぼ同額となる見込みであります。

○田中利明議長 堤栄三君。

◆堤栄三議員 増減が一緒であれば、本来こういうふうな税制改正というのはする必要ないわけです、外形標準課税から見ると。

 あわせて、県内企業への影響について問います。外形標準課税は、資本金が一億円超の企業に対して課税をされるものですけれども、黒字の企業は先ほど言いましたとおり減税、赤字の企業というのは増税というふうになります。特に、給与報酬額などの付加価値割というのは、二年後には〇・四八%から〇・九六%、二倍に増税をされます。これでは人件費などのコストの圧縮を企業に強いることにもなって、雇用の安定化や賃上げにマイナスの影響が出てくると考えますけれども、答弁を求めます。

○田中利明議長 西山商工労働部長。

◎西山英将商工労働部長 お答え申し上げます。

 この外形標準課税の付加価値割の課税標準であります付加価値額につきましては、報酬給与額や単年度の損益などの合計でございます。その中で給与額を増加しても、その分の損益が減少するということから相殺され、付加価値額自体は変わらずに、一定となるという制度設計になっております。

 また、外形標準課税におきましては、報酬給与額の比率が高い法人については、付加価値額から一定額を控除する仕組みなども設けられておりまして、雇用や賃上げにマイナスとならないように措置が講じられていると承知しているところであります。

 以上です。

○田中利明議長 堤栄三君。

◆堤栄三議員 今の答弁の中で、控除対象給与等支給増加額を課税標準から控除するという話なんですけれども、これは控除が認められる対象というのは、二〇一五年度の場合、給与等支給総額が一二年度比で三%以上増加した企業に限定されており、赤字企業への増税の影響をカバーできるものとはなっていないというのが実態です。それも三年間という限定的な措置というふうになっておりますけれども、三年後になくなる控除とわかっていて、給与等の引き上げを簡単にするということは考えにくいというふうに思いますし、赤字の企業は増税になるとわかっていて、給与を引き上げることも考えにくいと思います。また、付加価値割は増税になるのであれば、雇用を減らそうと考える法人も出てくると考えられますけれども、このような対策について、どのように考えているのか、再度答弁を求めます。

○田中利明議長 西山商工労働部長。

◎西山英将商工労働部長 お答え申し上げます。

 先ほどと答弁がかぶるところもございますが、もともとの制度設計といたしまして、この付加価値割の設計は、付加価値総額は給与報酬額が単年度損益の合計でございますので、給与報酬額を下げれば単年度損益が上がるという形になりまして、課税自体の数字、課税額は変わらないという設計にまずなっているということでございます。その上で、プラスして制度として、先ほども申し上げた一定の控除が認められる制度があります。

 さらに申し上げれば、今回、やはり雇用にもしっかり配慮した制度をということでございまして、一定の新設の雇用に配慮した、雇用報酬額を上げた場合に、実質、税を控除できるという措置がされたところだというふうに理解しております。

○田中利明議長 堤栄三君。

◆堤栄三議員 では、続いて、外形標準課税の対象法人についてお伺いをします。

 中小企業基本法によりますと、製造業では資本金三億円以下が中小企業というふうに規定をされておりますけれども、このような中小企業にまで外形標準課税の増税を課すというのは間違っているというふうに私は思いますけれども、どうでしょうか、答弁を求めます。

 また、今後の最大の懸念は、中小企業への外形標準課税の拡大というふうに思われます。

 大綱では、中小企業についても税負担のバランスについて慎重に検討していくというふうになっており、課税対象が拡大される懸念が大きいわけです。県内企業の九割超を占める中小企業の課税拡大は、本県経済にとっても大きなマイナスになるというふうに思います。県として、拡大はさせないということを強く国に求めるべきと考えますけれども、答弁を求めます。

○田中利明議長 島田総務部長。

◎島田勝則総務部長 外形標準課税の対象となる法人でありますが、平成十六年度の制度導入当初から、担税力に着目いたしまして、資本金一億円超の法人に適用されております。今回の改正においても、そこについては維持をされたところであります。

 一方で、今回の改正によりまして、個々の法人について、負担増となる場合には、先ほども申し上げましたけれども、事業規模が一定以下の場合については、二年間に限り、負担増を原則二分の一に軽減する措置も講じられているところであります。

 今後の話でございますが、外形標準課税の適用対象法人のあり方については、今回の大綱におきましても、地域経済、企業経営への影響も踏まえながら、引き続き慎重に検討を行うこととされております。

 今後も、地域経済への影響を踏まえまして、知事会等を通じて、中小法人への配慮についての要請を行っていく必要があると考えております。

○田中利明議長 堤栄三君。

◆堤栄三議員 激変緩和措置としての外形標準課税の対象となる資本金一億円超の企業のうちに、事業規模が一定以下の場合は、法人で二年間に限って負担を二分の一にするというふうな特例があります。特例というのはこれは先ほどの賃金と一緒なんです。これもやっぱり期間限定の措置であって、二年間終わってしまえばその後は当然、増税というのが待っているわけです。二年間の限定措置であるにもかかわらず、それが過ぎれば増税ということで、これでも負担軽減と言えるのでしょうか、答弁を求めます。

 先ほど、知事会としても要望しているというふうにしていますけれども、今後の見通し、知事会としてのアプローチ、どのように具体的にかけ、また、国がどういうふうな対応をしてきているのかということを再度お伺いをいたします。

○田中利明議長 島田総務部長。

◎島田勝則総務部長 先ほどの答弁と重複がございますけれども、今回の改正によりまして、所得割は減ります。資本割と付加価値割がふえるということで、基本的には中立の仕組みであります。

 ただ、個々の企業の年度年度の業績にもよるわけでございますが、今回の改正により負担がふえる場合がありますので、その場合についての激変緩和が講じられているということであります。基本的に負担増ということではないというふうに理解をしております。

 それからまた、今回、二十七年度の改正においても、外形標準課税の対象となる資本金一億円超という基準を引き下げて、より多くの企業に外形標準課税を適用させようという議論がございました。それについては慎重に考えるべきではないかということを九州地方知事会としても全国知事会としても主張してまいりまして、そのことが一定受け入れられて、今回、一億円超という水準が維持されたというふうに理解をしております。

 今後、政府の方でどういった議論がされるか、そういったところに応じまして、全国知事会、九州地方知事会の中でも議論をし、必要な要請を行っていくということになろうかと考えております。

○田中利明議長 堤栄三君。

◆堤栄三議員 先ほど言ったとおり、中小企業への拡大が一番懸案されるわけなんです。こうなってくると、もう自主的には赤字企業であったとしても、外形標準課税を出さにゃいかんごとなるわけです。そういう点では、知事会を通じて出しておりますけれども、積極的にそういうのは、税制改正というのは常にやっていくわけですから、国というのは。その中でも、外形標準課税については中小企業への拡大対象をするなということはやっぱり声を大にして言うべきだというふうに私は思うんですけれども、ただ、先ほど慎重に議論を進めていくという、そういう弱腰じゃなくて、もっと強く言うべきだというふうに思うんですけれども、そこら辺はどうですか。

○田中利明議長 島田総務部長。

◎島田勝則総務部長 外形標準課税の対象の拡大については、ご指摘のように、個々の中小企業について悪い影響が出るんじゃないかという心配がある一方で、外形標準課税の拡大自体は、税収の安定化でありますとか、企業が行政サービスの恩恵を受けておりますので、それに応じた負担をしていただくという応益性の観点からは一方で必要ではないかという議論もあります。

 実際に拡大されるかどうか、今後の議論でありますが、単に反対ということよりも、まさに慎重に見きわめた上で、必要な声を上げていくというのがあるべき対応ではないかと考えているところであります。

○田中利明議長 堤栄三君。

◆堤栄三議員 税収の安定化というのは、それは行政側の考え方なんです、当然ね。しかし、中小企業というのはそういうふうな税収の安定化のために、じゃ、赤字でも出しましょうとならないわけです。当然、そこでから赤字の企業は黒字に転換して頑張っていこうという思いがあるんだけれども、しかし、それでも赤字の場合には、外形標準課税がかかってしまうわけです。だから、税収の安定という行政側の理屈じゃなくて、やっぱり県内の本当九割以上を超えている中小企業の立場に立って、ぜひそれは国にこれからも強く求めていただきたいというふうに思います。

 最後なんですけれども、今回の条例改正には、消費税の一〇%への引き上げの施行日を二〇一七年四月一日に変更することにあわせた改正案も含まれております。これは税制抜本改革法附則の第十九条第三項、景気条項が削除されたことによって、どれだけ景気が悪くても一〇%に増税するという、とんでもないものが前提となっております。昨年の八%増税で、いまだに景気が落ち込んでいるのに、二年後に一〇%に増税をされれば、県経済というのはさらに大きく落ち込んで、県民の暮らしや中小企業の営業が成り立たなくなってしまう危険性があります。増税中止を求め、また条例の改正は、これはするべきでないというふうに考えますけれども、答弁を求めます。

○田中利明議長 島田総務部長。

◎島田勝則総務部長 消費税率の引き上げについてお答えいたします。

 厳しい日本の財政状況や、急速に進む少子高齢化の中で、財政健全化への国際的信認を得て、世界に誇るべき社会保障制度を次世代へ引き継ぐためには、消費税率の引き上げは避けて通れないものと認識をしております。

 県としては、国の動向を注視しながらも、県民生活や地域経済に支障を来さないように、今後とも努力してまいりたいと考えております。

○田中利明議長 堤栄三君。

◆堤栄三議員 今後とも努力じゃなくて、やっぱり積極的に声を出していくべきだというふうに思います。

 社会保障の財源、これは県の持論として安定財源ということをずっと言ってきましたけれども、しかし、実質的には消費税というのは、所得の低い人ほど税負担が高いわけです。重たい不公平な税制になっているわけです。社会保障の財源としては、本来、所得の低い人たちに増税をして、その財源を使ってはならないというふうに私は思いますし、私たちは消費税に頼らない財源論というのを統一地方選挙でも戦って多くの方からも賛同を得ました。やっぱり大企業向けの優遇税制による減税や税率の引き下げをやめる、中小企業並みに税金を負担させることや、株などで大もうけする富裕層にはきちんと税金を負担してもらうこと、大企業の内部留保二百八十五兆円の一、二%を活用して従業員の賃上げや下請単価の引き上げに活用させることなどを提言しております。県としても、この提言を国に強く求めて、消費税増税の中止を求めるべきと考えますけれども、再度、答弁を求めます。

○田中利明議長 島田総務部長。

◎島田勝則総務部長 消費税率の引き上げについて中止を求めるべきとのご主張でありますが、もともと平成二十七年、ことしの十月に消費税率を八%から一〇%に引き上げるという法律が定められておりましたところ、一昨年の十二月に当時の経済状況を踏まえて、引き上げの時期を延期することといたしまして、そのことについて、国民の信を問う衆議院議員総選挙が行われたところであります。

 その総選挙の結果も踏まえて、改めて法律が改正されて、いわゆる景気条項が削除され、平成二十九年四月から、一年半延期する形で消費税率を一〇%に引き上げることとなったわけであります。この経緯は重く受けとめるべきというふうに考えております。

 一方で、消費税率の引き上げが消費意欲の減退につながるという懸念は否定できませんので、五%から八%に引き上げる際にも、県としてプレミアム商品券の発行でありますとか、公共事業の積極的計上という形で景気対策を行ってまいりました。経済の基盤を強くする努力というのは、平成二十九年四月、一〇%の引き上げに向けて引き続き必要だろうというふうに考えております。

 以上でございます。

○田中利明議長 堤栄三君。

◆堤栄三議員 景気回復として、その分でから、いわゆる賃上げというのは絶対必要だと思うんです。賃上げをすることによって、景気回復というのは非常に大きくつながると思いますので、消費税増税はぜひ中止をするように求めて、質疑を終わります。

 以上です。

○田中利明議長 以上で通告による質疑は終わりました。

 これをもって質疑を終結いたします。

 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件のうち、第六四号議案及び第六五号議案については委員会付託を省略いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕


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